菅義偉首相にとって、9月以降に想定される衆院解散・総選挙までの期間は「勝負の3カ月」となる。東京五輪・パラリンピックの「成功」と新型コロナウイルスワクチン接種促進で低迷する内閣支持率の反転を狙うが、乗り越えなければならないハードルがいくつも待ち受けている。
 通常国会閉幕後、最初の関門は6月25日告示、7月4日投開票の東京都議選だ。自民党は2017年の前回選挙で過去最低の23議席と惨敗しているだけに負けられない。
 都議選の結果が衆院選に直結した例もある。12年前の09年7月の都議選で大敗を喫した自民党は、同8月の衆院選で野党に転落した。当時、党選対副委員長として選挙実務を担った首相にとっては「鬼門」だ。
 都議選では五輪開催の是非やコロナ対応に加え、自民党議員に相次いだ「政治とカネ」の問題も争点となる可能性がある。自民党の中谷元・元防衛相は16日の旧谷垣グループ会合で、関係者が説明責任を果たしていないとして「国民の声は厳しい」と指摘。公明党の山口那津男代表は党会合で「課題は政治とカネの問題だ」と語った。
 五輪・パラリンピック期間中を含め、コロナ感染の動向も焦点だ。首相は20日に期限を迎える緊急事態宣言について、東京都などはまん延防止等重点措置に切り替える方針。だが、新規感染者数は下げ止まり傾向で、16日の東京は先週比で増加した。
 首相は衆院選に向け、五輪が少しでも盛り上がるよう「有観客」にこだわっているとされる。これに対し、政府分科会の尾身茂会長は「規模の最小化」を唱え、観客を入れた場合のリスク評価について17日にも政府へ提言する。観客を入れることで人流増大を誘発し、感染再拡大を招けば政府には打撃となる。
 首相が感染対策の「切り札」と期待を込めるワクチン接種は軌道に乗りつつある。ただ、先行する英国では、インド型変異株の流行で感染が再び広がっている。京都大の西浦博教授は、国内でも7月中旬に新規感染者の半数を超え、同月末には8割に達するとの試算を公表している。
 首相周辺は「7月中旬までに感染者が急増する。無観客にしないと国民の批判を浴びる」と語り、ある閣僚は「五輪が失敗したら自民党は政権から転落する」と衆院選への影響を懸念した。立憲民主党幹部は今後3カ月間を「首相にとっては障害物競走だ。どこかでつまずいたら終わりだ」と手ぐすね引いている。 (C)時事通信社