抗酸化物質であるカロテノイドは死亡リスク低下に関連することが知られているが、その血中濃度は食生活の変化による影響を受けるため、長期追跡で反復測定することにより関連をより正確に把握できると考えられる。藤田医科大学医療科学部臨床検査学科教授の鈴木康司氏らは、日本人3,100例超を約25年追跡。反復測定に基づく解析で、血清総カロテノイド値が25%上昇すると、全死亡、がん死、心血管疾患(CVD)死リスクがそれぞれ15%、18%、14%低下するとJAMA Netw Open2021; 4: e2113369)に発表した。

反復測定値を基に時間依存HRを算出

 鈴木氏らは、1990~99年に北海道八雲町で1回以上住民健診を受けた40歳以上の住民を2017年12月まで前向きに追跡し、2011年まで毎年の健診で得られた6種のカロテノイド(ゼアキサンチン/ルテイン、カンタキサンチン、β-クリプトキサンチン、リコピン、α-カロテン、β-カロテン)の血清濃度データと、これらを基に算出した血清総カロテン、総キサントフィル、プロビタミンA、血清総カロテノイド値データを集積。年齢と性に加え、喫煙習慣、飲酒習慣、収縮期血圧、ALT、トリグリセライド、BMIを時変共変量として調整した時間依存Cox回帰モデルにより、血清総カロテノイド値が25%高くなるごとの死亡ハザード比(HR)を検討した。

 解析対象は3,116人で、平均年齢54.7±10.6歳、女性60.4%。追跡期間は中央値22.3年〔四分位範囲(IQR)15.5~25.3年〕で、平均健診受診回数は4.52±4.71回であった。追跡期間中に762人が死亡、うち253人ががん死、210人がCVD死であった。

単回測定よりも強い関連

 時間依存Cox回帰分析の結果、カンタキサンチンを除く全てのカロテノイドで、血清濃度の25%上昇と全死亡、がん死、CVD死の減少に有意な関連が認められた。

 例えば、血清総カロテノイド値25%上昇におけるHRは、全死亡0.85(95%CI 0.82~0.87、P0.001)、がん死0.82(同0.78~0.87、P<0.001)、CVD死0.86(同0.81~0.91、P<0.001)だった(表1~3)。

表1. 血清総カロテノイド値25%上昇と全死亡リスクの関係

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表2. 血清総カロテノイド値25%上昇とがん死リスクの関係

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表3. 血清総カロテノイド値25%上昇とCVD死リスクの関係

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(表1~3ともJAMA Netw Open 2021; 4: e2113369)

 ベースライン時の単回測定値のみを用いた解析でも、血清総カロテノイド値が25%高くなるごとに死亡リスクは有意に低下したが、反復測定データセットに基づく解析時と比べリスク低下の程度は小さかった〔単回測定血清総カロテノイド値25%上昇ごとのHRは、全死亡0.92(95%CI 0.89~0.95、P0.001)、がん死0.87(同0.83~0.93、P<0.001)、CVD死0.93(同0.88~0.99、P0.03)〕。

 血清総カロテノイド値の変化を15、20、30%に変えた感受性解析でも有意な関連は維持された。血清総カロテノイド値と死亡リスク低下の関連に性差は認められなかった。

 鈴木氏らは「約25年の追跡において、反復測定によるデータを用いた解析で血清総カロテノイド値が高いほど、全死亡および死因別死亡の有意な低下との関連が認められた」と結論づけている。今回の知見は、血清カロテノイド値を高めることによる死亡リスク低下効果は、これまで示されていたよりも大きい可能性を示唆している。

(小路浩史)