新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の英国型変異(アルファ)株と既存株による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象に、入院リスクなどを評価した後ろ向きコホート研究の結果、アルファ株による入院リスクは既存株の1.52倍であることが示された。特に、30歳以上の患者でよりリスクが高かった。英・University of CambridgeのTommy Nyberg氏らがBMJ2021; 373: n1412)に発表した。

14日以内の入院を比較

 アルファ株は2020年11月に英国で発見されて以来、世界135カ国・地域から報告されている。

 当初は感染力の強さが注目されたが、その後、他の変異株よりも死亡リスクが1.6倍に上ることが報告されている(BMJ 2021; 372: n579、関連記事「コロナ英国変異株の死亡リスク1.6倍」)。しかし、入院リスクについて検討した研究は症例数が少なく、十分な評価が行われていなかった。

 Nyberg氏らは、SARS-CoV-2のアルファ株と既存株に感染したCOVID-19患者を比較し、入院リスクなどを評価することを目的に後ろ向きコホート研究を実施。患者のデータは、英国における地域ごとのSARS-CoV-2検査と病院の入院データセットから入手した。

 対象は、2020年11月23日~21年1月31日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査でSARS-CoV-2陽性が確認された患者83万9,278例。スパイク蛋白遺伝子を検出するPCR検査で偽陰性となるアルファ株に特有のSGTF(spike gene target failure)変異の有無をTaqPathアッセイによって調べたところ、変異が確認されたアルファ株感染者は59万2,409例(平均年齢37.6歳)、確認されなかった既存株感染者は24万6,869例(同37.8歳)だった。入院リスクのハザード比は年齢、性、民族、生活水準の指標、居住地域、陽性と判定された日によって層別化し、推定した。

 主要評価項目は、SARS-CoV-2陽性と判定された日から14日以内の入院とした。

30歳以上で入院リスク1.45〜1.65倍

 解析の結果、14日以内に入院した患者は、アルファ株感染者で2万7,710例(4.7%、アルファ株群)、既存株感染者で8,523例(3.5%、既存株群)だった。入院せずに死亡したのは、それぞれ911例(0.15%)、399例(0.16%)で入院リスクの推定に及ぼす影響はほとんどないと判断された。

 既存株群に対するアルファ株群の入院リスクの調整ハザード比(HR)は、1.52(95%CI 1.47〜1.57)だった。年齢で層別化すると、20歳未満における入院リスクのHRは0.93〜1.21でほとんど差がなかったのに対し、20〜29歳では1.29、30歳以上では1.45〜1.65と有意にリスクが上昇した。 14日以内の入院における調整絶対リスクは、アルファ株群4.7%(95%CI 4.6〜4.7%)、既存株群3.5%(同3.4〜3.5%)だった。

 28日以内の死亡は、アルファ株感染者で2,603例(0.44%)、既存株感染者で899例(0.36%)に発生した。既存株感染者に対するアルファ株感染者における死亡リスクを年齢、居住地域、SARS-CoV-2陽性と判定された日で層別化し、推定した調整HRは1.59(95%CI 1.44〜1.74)だった。

 以上の結果から、アルファ株に感染した場合、既存株より入院リスクが1.52倍と高く、特に30歳以上で重症化しやすいことが示された。また、死亡リスクも1.59倍と高かった。

 Nyberg氏は「加齢により重症度が異なるかを判断するには、さらなる研究が必要である。アルファ株の感染拡大は、ワクチン未接種集団における医療負荷の増大につながる可能性がある」と懸念を示している。

(今手麻衣)