東京五輪開幕まで1カ月。スポンサー企業は「広告宣伝やイベントなどで機運を醸成し、大会の成功に貢献したい」(ENEOS)と準備を急ぐ。一方、新型コロナウイルスの感染が収束しない中での開催に反対する世論も根強い中、「スポンサーとしての活動に制約がある」と戸惑いの声も聞かれ、宣伝効果は不透明だ。
 時事通信が今月11~14日に実施した世論調査では、東京五輪を「中止」するべきだと答えた割合が40.7%と最多で、「開催」(30.4%)、「再延期」(22.2%)を上回った。開催する場合の観客受け入れについても、「無観客」が63.9%を占めた。
 ただ、五輪会場の観客上限1万人(収容定員の50%以内)で大会を開催することが既定路線となりつつある。NTTドコモは、選手村に通信の高速大容量規格「5G」の通信環境を備えたラウンジを開設。通話音声を文字に変換する技術を活用し、日本中から集まった応援メッセージを8言語でディスプレーに表示する。
 トヨタ自動車は、自動運転型の電気自動車(EV)「イー・パレット」を選手村で運行。パナソニックは開会式のプロジェクションマッピングの演出や音響設備などを担う。
 JTBは公式観戦ツアーの販売を再開し、東武トップツアーズは抽選販売を開始した。近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT―CTホールディングスも再開を検討している。JR東日本は、観客らの円滑な輸送に向け、対応を大会組織委員会と協議している。
 一方、予定していた活動の中止や見直しに追い込まれたケースも多い。NTTやENEOSは、聖火リレーなどに合わせて各地で予定していたイベントを、新型コロナの感染拡大防止のため縮小するなど対応に追われた。パラリンピック競技「ゴールボール」の体験企画を取りやめた企業もある。スポンサーとしての活動は大きく制限されており、協賛金に見合う効果が得られていないのが現状だ。
 アサヒビールと明治は、観戦チケットが当たるキャンペーンの抽選を既に終えているが、発送は見合わせている。あるスポンサー企業関係者は「社内でも特に五輪で何かしようという雰囲気でもない」と冷ややかだ。 (C)時事通信社