東京五輪開幕まで23日で残り1カ月。1年延期された本番が迫っても祝祭ムードはない。コロナ禍にあって、国内の観客を制限付きで入れることが決まった。選手や関係者の感染予防策も示されたとはいえ、「安全、安心」な開催は見通せない。
 準備の仕上げに入るべき時期に観客数の判断がようやく示された。収容定員の50%以内で最大1万人、さらに関係者は上限とは別枠。安全への根拠は薄い。感染状況によっては無観客もあり得るとしながら、その条件は明確になっていない。
 大会組織委員会の関係者は「すべてが整っていない。見切り発車の連続だ」と嘆く。観客を入れるとなれば相応の準備が生じる。チケットの再抽選や払い戻し、医療や警備、ボランティアの手配、会場の観客サービスも必要になる。残された時間は少なく、飲食などの担当者は戸惑っているという。
 参加者のコロナ感染対策をまとめたプレーブック(規則集)第3版も公表されたが、不備が目立っている。選手らのウイルス検査は検体採取が選手団の責任者に委ねられ、海外から入国するメディアなど大会関係者の行動管理は全地球測位システム(GPS)で行うという。実効性は疑わしい。
 事前合宿で来日したウガンダ選手団の1人が、到着時に空港でのウイルス検査で陽性になった。大会では海外から来日する関係者の数を大幅に削減したものの、五輪で約4万1000人に上る。選手は1万人超。観客は国内から42会場に集まり、チケットの販売枚数は観客上限基準に沿って再抽選で絞り込んでも約272万枚になる。
 政府や組織委は、国内外で観客を入れてスポーツ大会が開催されている実績を強調するが、世界最大の総合スポーツ大会は選手団、会場、観客のいずれもスケールが違う。「問題が多々発生して、それをごまかしながらの開催になるだろう」。ある大会関係者は覚悟するようにつぶやく。 (C)時事通信社