米・Advocate Aurora HealthのMichael A. Thompson氏らは、血液がんを有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象に、回復期血漿療法の効果を検証する後ろ向きコホート研究を実施。その結果、回復期血漿療法を受けなかった患者に比べ、受けた患者ではCOVID-19診断後30日以内の全死亡率がほぼ半減したとJAMA Oncol2021年6月17日オンライン版)に発表した(関連記事「コロナへの回復期血漿、本当に無効か」「回復期血漿療法、コロナへの効果認めず」)。

COVID-19診断後30日以内の死亡率が48%低下

 COVID-19の治療に関する知見は主に重篤な基礎疾患を有さない成人が対象の大規模試験データに基づいており、血液がんを有するCOVID-19患者に対する高い有効性を示した前向き試験データはない。そこでThompson氏らは、がん患者におけるCOVID-19の臨床的影響を解明する目的で設立された国際コンソーシアムCOVID-19 and Cancer Consortium(CCC19)の登録データを用い、血液がんを有するCOVID-19入院患者に対する回復期血漿療法の効果を後ろ向きに検討した。

 対象は、2020年3月17日~21年1月21日にCCC19に登録された血液がんを有するCOVID-19入院患者966例(平均年齢65歳、男性55.8%)。このうち、回復期血漿療法を受けた患者が143例〔14.8%(リンパ系がん86.0%、骨髄系がん14.7%)〕、受けなかった患者(対照群)が823例だった。主要評価項目はCOVID-19診断後30日以内の全死亡とした。

 解析の結果、中央値で30日(四分位範囲21~90日)の追跡期間における主要評価項目の発生は223例(23.1%)だった。粗死亡率は、対照群の24.8%(823例中204例)と比べて回復期血漿療法群で13.3%(143例中19例)と低かった。

 Cox比例ハザード回帰モデルによる解析でも、対照群に対し回復期血漿療法群では40%〔調整後ハザード比(HR)0.60、95%CI 0.37~0.97、P=0.03〕の有意な全死亡率低下が認められた。

 さらに、1:1の傾向スコアマッチングを用いて年齢、性、人種・民族、血液がんの種類、全身状態、肥満、2型糖尿病、高血圧などを一致させた対照群(143例)との比較でも、回復期血漿療法群で48%(HR 0.52、95%CI 0.29~0.92、P=0.03)の有意な全死亡率低下が認められた。

ICU入室、機械的人工換気を要する重症例でも有効

 回復期血漿療法群における有意な全死亡率低下は、集中治療室(ICU)への入室を要したサブグループ(338例、傾向スコアマッチング後HR 0.40、95%CI 0.20~0.80)、機械的人工換気を要したサブグループ(227例、同0.32、0.14~0.72)でも認められた。

 以上を踏まえ、Thompson氏らは「血液がんを有するCOVID-19患者に対する回復期血漿療法は、生存率を向上させる可能性が示された」と結論している。

 また、回復期血漿療法の安全性について、同氏らは「静脈血栓症(回復期血漿療法群10.5% vs. 傾向スコアマッチングの対照群8.4%)および動脈血栓性イベント(3.5% vs. 3.5%未満)の発生率が両群とも低く、急性腎障害の発生率(25.9% vs. 27.5%)は両群で同等だったのは心強い結果だ」と指摘。「一方、回復期血漿療法群では対照群と比べ、うっ血性心不全の発生率が高かった(7.0% vs. 3.5%未満)。この結果については、より大規模なコホートで精査する必要がある」と付言している。

  • CCC19の方針として、5例未満の場合は具体的な症例数を開示していない

(太田敦子)