再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対する抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(商品名サークリサ)の有効性と安全性を検証した国際第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験IKEMAについて、無増悪生存(PFS)の結果がLancet2021年6月4日オンライン版)に掲載された。カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)療法と比べ、Kd療法+イサツキシマブの3剤併用療法でPFSの有意な延長が認められた。再発・難治性MMに対するKd併用下のイサツキシマブについては、同試験の結果などに基づき昨年(2020年)12月に日本で適応拡大申請を行っており、既に今年3月には米国、4月には欧州で承認されている。(関連記事:「イサツキシマブ、再発/難治性多発性骨髄腫で適応拡大承認申請」「米・進行多発性骨髄腫に対する抗CD38抗体isatuximabの併用療法が承認」「欧州でも抗CD38抗体isatuximab併用化学療法が進行多発性骨髄腫に対し承認」)

PFSに加え、VGPR、MRD陰性率を有意に改善

 フランス・University Hospital Hôtel-DieuのPhilippe Moreau氏らは、北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の16カ国で、過去に一〜三次治療を受け血清または尿中の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)が測定可能な18歳以上の再発・難治性MM患者を登録。Kd療法にイサツキシマブを上乗せするイサツキシマブ群とKd療法を施行する対照群に3:2でランダムに割り付け、有効性および安全性を比較した。イサツキシマブを最初の4週間は毎週10mg/kg静脈内投与し、その後は増悪または許容できない毒性が認められるまで2週間ごとに投与した。主要評価項目は独立評価委員会(IRC)の評価によるPFSとした。

 2017年11月15日〜19年3月21日の間に302例を登録(イサツキシマブ群179例、対照群123例)。中央値で20.7カ月(四分位範囲19.4〜22.1カ月)追跡した結果、主要評価項目としたPFSの中央値は、対照群の19.15カ月〔95%CI 15.77カ月~評価不能(NE)〕に対し、イサツキシマブ群では未到達(同NE)と有意な延長が認められた〔ハザード比(HR)0.531、99%CI 0.32~0.89、片側P=0.0007、〕。

図. イサツキシマブ群と対照群におけるPFSの比較

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Lancet 2021年6月4日オンライン版)

 推定2年PFSは、対照群が45.7%(95%CI 35.2〜55.6%)、イサツキシマブ群が68.9%(同60.7〜75.8%)だった。担当医評価によるPFSはIRC評価と一致していた(HR 0.58、99%CI 0.36〜0.92、P=0.0010)。

 他方、副次評価項目とした全奏効率(ORR)に両群で有意差が認められなかったものの、最良部分奏効(VGPR)以上の割合は対照群の56%に対しイサツキシマブ群では73%と、有意に高かった(P=0.0011)。完全奏効(CR)はそれぞれ40%、28%、微小残存病変(MRD)陰性率は30%、13%だった(P=0.0004)。

 安全性については、グレード3以上の治療関連有害事象(TEAE)がイサツキシマブ群で77%、対照群で82%、深刻なTEAEがそれぞれ59%、57%に認められた。TEAEにより投与中止に至ったのは8%、14%だった。

 以上の結果について、Moreau氏は「再発・難治性MM患者に対するKd療法へのイサツキシマブ上乗せにより、有意なPFSの延長および深い奏効が得られた」と指摘。「免疫調整薬を含む一次治療後に増悪した患者や免疫調整薬に抵抗性を示す患者の、新たな治療選択肢となる可能性がある」と展望している。

(平山茂樹)