抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体eptinezumabは、米国で成人の片頭痛予防治療薬として承認されており、日本でも臨床試験が予定されている。米・Palm Beach Headache CenterのPaul K. Winner氏らは、成人の片頭痛患者480例を対象とした同薬の第Ⅲ相試験を実施。中等度~重度の片頭痛発作に対する治療としてのeptinezumab 100mg静脈内投与は、プラセボに比べて頭痛および随伴症状の消失までの時間を有意に短縮したとの結果をJAMA2021; 325: 2348-2356)に発表した(関連記事「片頭痛治療で注目されるCGRP関連製剤」)。

静注で迅速な効果発現が特徴

 最近の研究では、片頭痛の急性期治療に対する反応が不十分な患者は34.3%を占め、反応例に比べて重症で1カ月当たりの頭痛日数が多いことが示された(Headache 2020; 60: 1325-1339)。薬物乱用や不十分な急性期治療に伴う反復性頭痛から慢性片頭痛への進行リスクを考慮すると、効果発現が迅速かつ有効性の高い片頭痛予防治療薬が求められる。

 eptinezumabは静脈内投与のため速やかに薬効を発現し、投与終了後30分で最大血中濃度に達する。同薬の片頭痛予防試験では、投与後1日目から効果を示し、12週(投与間隔)まで持続することが報告されている。

頭痛と症状消失までの時間を評価

 今回の第Ⅲ相二重盲検並行群間プラセボ対照ランダム化比較試験では、2019年11月~20年7月に米国およびジョージアの47施設で登録した。成人の片頭痛患者を対象に、活動性片頭痛発作に対するeptinezumab静脈内投与の有効性と安全性を評価した。

 登録基準は、スクリーニング前3カ月間に前兆の有無を問わず1カ月当たりの頭痛日数が4~15日かつ片頭痛歴が1年以上で18~75歳の患者480例(平均年齢44歳、女性84%)。中等度~重度の片頭痛発作の発症から1~6時間以内にeptinezumab 100mg群(238例)またはプラセボ群(242例)に1:1で割り付け、30分かけて静脈内投与した。クリニック訪問は、スクリーニング時、0日目(投薬日)、4週目に実施した。

 主要評価項目は、頭痛消失までの時間および最もつらい随伴症状(開始前に、悪心・嘔吐、光過敏、音過敏から患者が選択)消失までの時間とした。

頭痛は4時間、随伴症状は2時間で消失

 eptinezumab群235例(98.7%)、プラセボ群241例(99.6%)が試験を完了した。

 解析の結果、頭痛消失までの時間中央値は、プラセボ群の9.0時間〔四分位範囲(IQR)3.0~48.0時間〕に対し、eptinezumab群では4.0時間(同2.5~12.0時間)と有意に短縮した〔ハザード比(HR)1.54、95%CI 1.20~1.98、P<0.001〕。

 最もつらい随伴症状の消失までの時間は、プラセボ群の3.0時間(IQR 1.5~12.0時間)に対し、eptinezumab群では2.0時間(同1.0~3.5時間)と有意に短縮した(HR 1.75、95%CI 1.41~2.19、P<0.001)。

レスキュー薬使用も有意に少ない

 静注開始から2時間時点(レスキュー薬使用不可)で頭痛が消失した割合はeptinezumab群23.5%、プラセボ群12.0%(群間差11.6%ポイント、95%CI 4.78~18.31%ポイント)、同時点で最もつらい随伴症状が消失した割合はそれぞれ55.5%、35.8%(同19.6%ポイント、10.87~28.39%ポイント)と、プラセボ群に対し、eptinezumab群でそれぞれ約2倍有意に良好だった〔頭痛消失のオッズ比(OR)2.27 、95%CI 1.39~3.72、最もつらい随伴症状消失のOR 2.25 、同1.55~3.25、いずれもP<0.001〕。静注後4時間時点でも同様に有意差が認められた。

 24時間以内にレスキュー薬を使用した割合はeptinezumab群31.5%、プラセボ群59.9%(群間差−28.4%ポイント、95%CI −36.95~−19.86%ポイント)で、eptinezumab群で有意に少なかった(OR 0.31、同0.21~0.45、P<0.001)。

 治療関連有害事象(TEAE)の発現率は、eptinezumab群10.9%、プラセボ群10.3%。最も多かったTEAEはアレルギー反応などの過敏症で、eptinezumab群のみで静注中から静注完了40分後までに5例(2.1%)発生、うち1例は重症で試験薬を中断した。重篤なTEAEは両群とも認められなかった。

効果的な予防治療としての可能性に期待

 以上の結果から、Winner氏らは「成人の慢性片頭痛患者において、中等度~重度の活動性片頭痛発作に対するeptinezumabは、プラセボに比べて頭痛および最もつらい随伴症状解消までの時間を有意に短縮した。ただし、片頭痛発作中にeptinezumab治療を施すことの実現可能性と代替治療との比較はまだ検証されていない」と結論している。

 同氏らは「高頻度の反復性および慢性片頭痛を有する患者は、予防治療を受けている最中に活動性片頭痛発作が起こる可能性が高い」と指摘。今回の試験でeptinezumab静注当日の有効性が示されたことの意義について、「eptinezumabは、片頭痛発作中の投与開始の効果を評価した唯一の抗CGRPモノクローナル抗体。これまでに確立された同薬の片頭痛に対する予防効果に、活動性片頭痛発作の軽減という利点が加わることで、将来の片頭痛発作を防ぐ効果的な治療となる可能性が期待される」と考察している。

(坂田真子)