新型コロナウイルス感染者の国内初確認から約1年半がたち、累計感染者は80万人に迫る。回復後、再感染を防ぐ中和抗体が体内にできるとされる感染経験者は、ワクチンを接種する必要があるのだろうか。専門家は「抗体量を増やすため、油断せずに接種を受けて」と呼び掛ける。
 横浜市立大の研究チームは、自然感染して回復した250人を調査。その結果、従来株に対して十分な量の中和抗体を持つ割合は感染半年後が98%、1年後は97%だったが、変異株では減ることが分かった。
 長崎大の柳原克紀教授らの研究では、感染経験者の体内にはある程度の量の抗体があるが、米ファイザー製ワクチンを1回接種すると感染未経験者の2回接種時とほぼ同じ十分な量の抗体ができた。これらの結果も踏まえ、同大の森内浩幸教授は「感染経験者もワクチンを接種する必要がある」と指摘する。
 森内教授は、感染経験者は接種が1回でも2回でも抗体量に大差がないとして「1回の接種で十分だと思う。ワクチンの配分量によっては、感染経験者は2回目を受けずに他の人に回す方法もあり得る」と話す。接種の時機は回復直後でなく、ワクチン接種間隔と同様に3~4週間空けるのが免疫反応を強めるのに有効とする。
 副反応はどうか。ファイザー製ワクチンでは、2回目の方が1回目よりも頻度が高い傾向がある。森内教授は「痛みやかゆみなどは、ワクチン内の遺伝物質が体内で作る新型コロナのたんぱく質への反応ではなく、異物に対する自然免疫としての反応」とした上で、「現時点では、感染経験者の副反応頻度が極端に高くなるとは考えられない」と分析する。自然感染によりできた抗体がワクチン成分に影響を与える心配もない。
 厚生労働省は「再感染の恐れもあり、感染経験者も接種できる。1回の接種で十分な効果が得られるか分からず、現時点では通常通り2回接種することになる」としている。 (C)時事通信社