イタイイタイ病が公害病に認定されてから半世紀超。風化への懸念とともに、前段症状とされるカドミウム腎症の発症のみでも公害病と認定するよう求める声は根強い。
 2013年、被害者団体と三井金属鉱業は合意書を交わし、カドミウム腎症患者へ一時金60万円の支払いを決めた。対象者は500~600人に上るとみられるが、周知が進まず、申請者は251人にとどまる。
 「イタイイタイ病を語り継ぐ会」の向井嘉之代表(77)は「(重症化や入院への支援がある)医療保障ではない」と一時金のみの救済を問題視。カドミウム腎症と骨軟化症を併発した状態をイタイイタイ病とする現在の定義を見直し、「同腎症だけでも公害病とすべきだ」と訴える。
 40年にわたりイタイイタイ病の治療と研究に当たってきた萩野病院の青島恵子院長(71)も、カドミウム腎症が公害病認定されない現状を「臨床的な現実とは懸け離れている」と批判。「健康被害の全体像を捉え、公害病を再定義する必要がある」と話した。
 青島院長は、今も約20人のカドミウム腎症患者を診察する。イタイイタイ病との関連を疑わない患者も多いといい、「汚染地域の住民はカドミウムの影響があるという認識を持つべきだ」と警鐘を鳴らした。 (C)時事通信社