AKB48のメンバー柏木由紀さん(29)が「7時間以上に及ぶ脊髄空洞症の手術に成功した」と発表し、関心が集まる難病。医療費助成対象の患者は全国で約94万人に上るが、雇用や就労の壁に直面する人は少なくない。「職を失う」「サボっていると思われる」と懸念し、患者に多い疲れやすい症状を職場に打ち明けられないケースも。支援団体は「多くの人に実態を知ってほしい」と訴える。
 厚生労働省などによると、300種類以上ある難病のうち、潰瘍性大腸炎が持病の安倍晋三前首相のように、症状次第で支障なく日常生活を送れる人は多い。障害者手帳を持つ難病患者は約50万人いるが、手帳がないと特別な支援を受けにくく、健康な人と同じ一般枠で雇用されることが多い。
 筋力低下や感覚障害が起きる難病「CIDP」を患う一般社団法人職員の池崎悠さん(29)=千葉県=は大学時代、就職活動で病気を理由に何度も企業から採用を拒否された。「残業ができない、出張が無理、重い物を持てないなどの条件があり難しかった」。症状が安定しないため障害者手帳は交付されなかった。「正社員を目指したが、一般枠は厳しく、障害者雇用枠は認められないというはざまで悲しかった」と語った。
 「通院のための休暇制度を確立して」と訴えるのは、臓器が腫れたり、硬くなったりする原因不明の「IgG4関連疾患」を抱える社会保険労務士長山浩之さん(50)=千葉市=。福岡県の法科大学院を修了後、3年間、病気を隠して派遣社員として働いていた当時を振り返り、「職場に難病と打ち明ければ契約が切られる可能性があった。(通院のための)有給休暇も取れなかった」と話す。
 難病患者を支援する日本難病・疾病団体協議会の辻邦夫常務理事(61)は「患者にとって働くことは社会参加と生きる希望につながる」と強調。難病を抱えながらも働き続けることができる環境整備の必要性を訴えている。 (C)時事通信社