不安障害、強迫性障害(OCD)、ストレス関連障害はしばしば併発し、複数の症状が同時に出現する。治療には、抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が用いられるが、複数の症状に対する有効性は明らかでない。ブラジル・Federal University of Rio Grande do SulのNatan P. Gosmann氏らはネットワークメタ解析を実施、その結果をPLoS Med2021; 18: 1003664)に報告した。

RCT 135報・計3万例超をメタ解析

 Gosmann氏らは、不安障害、OCD、ストレス関連障害を同時に発症した患者に処方されるSSRIおよびSNRIが、複数の異なる症状に対し有効か否かを検証するネットワークメタ解析を実施した。2015年4月23日までに開始され2020年11月11日時点でMEDLINE、PsycINFO、Embase、Cochrane Libraryに掲載されたランダム化比較試験(RCT)の論文を抽出した。

 解析対象は135報・3万245例で、内訳は不安障害関連が35報、社会不安障害関連が28報、パニック障害が25報、OCDが22報、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が20報、複数疾患が5報であった。患者の平均年齢はプラセボ群が35.69歳(女性53.80%)、実薬群が36.10歳(同55.06%)。135報中117報は成人、18報は小児が対象であった。

SSRIおよびSNRIに有効性あり、薬剤間に大差なし

 ネットワークメタ解析の結果、プラセボ群に対し実薬群では不安障害、OCD、ストレス関連障害を同時発症した患者に内在する複数領域の症状に対する有意な改善が示され〔標準化平均差(SMD)−0.56、95%CI −0.62〜−0.51、P<0.001、τ2 =0.045、I2=42.9%〕。

 薬剤クラス別に見ると、SMDはSSRIでは−0.57(95%CI −0.64〜−0.50)、SNRIでは−0.54(同−0.65〜−0.44)と、いずれも有意な改善が認められた(ともにP<0.001)。一方、薬剤別での検討では有意な改善は示されなかったものの、セルトラリンと比べパロキセチン(SMD −0.31、95%CI −0.53〜−0.11、P=0.003)およびエスシタロプラム(同−0.32、−0.61〜−0.03、P=0.03)で有意な改善が示された。

 以上の結果から、Gosmann氏らは「不安障害、OCD、ストレス関連障害を併発した患者へのSSRIおよびSNRIは、複数領域の症状に対する有効性が認められ、薬剤間に大きな差は見られなかった」と結論。「今回の知見は、精神科医や患者、政策立案者などがエビデンスに基づく意思決定を行う上で1つの指針になる」と指摘している。

松浦庸夫