角膜が混濁して視力が低下する「水疱(すいほう)性角膜症」の患者に人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った細胞を移植して治療する慶応大の臨床研究について、厚生労働省の専門部会は30日、実施を大筋で了承した。根本的な治療には角膜移植しかないが、希望する患者は1年以上待機する状態が続いている。同大は2022年春の移植開始を目指す。
 水疱性角膜症は、目の角膜にある「角膜内皮細胞」が減少し、角膜が濁る病気。白内障手術などが原因で起こるという。国内の患者は約1万人と推定されるが、角膜提供数は限られている。
 慶応大の榛村重人准教授らは、京都大から提供を受けた他人のiPS細胞を角膜内皮細胞と同じ機能を持つ細胞に変化させ、角膜内側に約80万個注入する。対象は角膜移植を行っても再発した重症患者3人となる予定。
 細胞は3時間ほどで定着し、患者は注入後7~10日で退院できる見通し。臨床研究では約1年間にわたり、視力回復の程度や安全性を評価する方針という。 (C)時事通信社