関節リウマチ(RA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)は、主に関節炎が起こり関節の痛みで体を動かすことが困難になる。両者は症状が酷似しており、鑑別が困難である。山梨大学病院リウマチ膠原病内科病院准教授の中込大樹氏らは、関節超音波検査を用いてRAとPMRの違いを解明することに成功したとRheumatology(2021年6月23日オンライン版)に発表した。

関節超音波で肩関節と膝関節を評価

 RAは免疫細胞が自身の関節を攻撃することで関節炎が引き起こされ、関節の破壊が進展する。RAの類縁疾患であるPMRは肩、股関節、殿部の関節痛、筋肉痛、こわばりなどの症状が急激に出現し高齢者に多く見られる疾患で、血液検査ではC反応性蛋白質(CRP)の上昇が見られる。社会の高齢化に伴いPMRは増加傾向にあるが、RAと症状が類似しているため、両者の鑑別は困難であった。

 近年、RAを関節超音波検査で診断することが可能になった。中込氏らは、関節超音波でRAとPMRの違いを見いだすことができるのではないかと考え、研究を行った。対象は、50歳以上で両肩痛があり赤血球沈降速度またはCRPが高値の新規発症者141例。治療前の症状、血液検査結果、関節超音波所見について検討。超音波検査で観察する関節部位は、肩関節と膝関節の各部位で、関節滑膜炎、腱鞘滑膜炎、骨液包炎、腱炎の有無について評価した。

肩と膝の腱鞘や腱の炎症はPMR患者に特徴的

 検討の結果、対象の最終的な内訳はPMR 60例、PMR疑い21例、RA 60例であった。PMR例では、上腕二頭筋長頭腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝窩筋腱における炎症の頻度が高かった。統計解析を行ったところ、肩関節の上腕二頭筋長頭腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱および膝関節の内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝窩筋腱がPMRの診断に寄与することが分かり、RAとの鑑別に役立つことが示された()。

図. 肩と膝の超音波画像

PMR_RA_US.png

左:肩の上腕二頭筋長頭腱の炎症、右:膝の膝窩筋腱の炎症

(山梨大学プレスリリース)

 今回の知見から、肩および膝の腱鞘や腱の炎症はPMR患者に特徴的で、RAとの鑑別に有用と考えられた。また、PMRの暫定分類基準〔欧州リウマチ学会(EULAR)/米国リウマチ学会(ACR)2012〕に肩と膝の超音波検査による評価を組み込むことで、診断精度が向上した。同氏らは「これまで困難だったRAとPMRの鑑別が関節超音波で容易にできるようになり、診断の正確性向上が見込める。的確な診断により、最適な治療と十分な効果をもたらすことが可能になるだろう」と展望している。

(慶野 永)