全国の市区町村が進める新型コロナウイルスワクチン接種のペースが低下を余儀なくされそうだ。接種回数が政府の想定を大きく上回り、使用する米ファイザー製ワクチンの供給が追い付かなくなる恐れが出てきたためだ。ただ、政府は大規模接種などと合わせ、10~11月までに希望する国民に接種を完了するとした目標は堅持する方針だ。
 一方、申請受け付けを休止している職域接種について、菅義偉首相は30日の関係閣僚会議で「新規受け付けは停止を継続するが、既に受け付けたものは精査の上、対応する」と表明。各自治体への配送に関しては「円滑な接種が続けられるよう、今後の配分の見通しを速やかに示していく」と述べた。
 市区町村で使用するファイザー製について、政府は6月までに1億回分を確保したが、7~9月は計7000万回分の見込み。これに対し、接種回数は実数を把握していない職域接種を除いても1日100万回を超える日が出ており、政府関係者は「供給を上回る接種スピードだ」と話す。
 ただ、政府は市区町村が保有する在庫で当面は対応可能とみている。加藤勝信官房長官は30日の記者会見で、ファイザー製の配送量は既に約7800万回分に上っているが、接種回数は28日時点で3000万回だったと指摘。政府関係者は「在庫が余っているのは間違いない」と語った。
 こうした状況を踏まえ、河野太郎規制改革担当相は30日の会見で、都道府県や政令市が米モデルナ製を使用して実施している大規模接種について、新たに開始する場合はファイザー製を使う考えを示した。市区町村や職域での接種と合わせ、政府目標の達成を目指す。
 ただ、自治体によって供給量に過不足が生じ、政府がきめ細かな供給見通しを示せていないため、混乱を招いていることは否めない。政府関係者は「河野氏らが接種計画をばんばん進めろと言ったのが原因だ」と調整の不備を認めている。 (C)時事通信社