新型コロナウイルスの感染再拡大が東京都を中心に鮮明となり、23日開幕の東京五輪について、無観客開催を検討すべきだとの声が与党からも出始めた。11日が期限のまん延防止等重点措置の延長判断や、五輪チケットの再抽選結果発表を来週に控え、政府は難しい判断を迫られつつある。
 東京都の新規感染者数が673人に上った1日、自民党の岸田文雄前政調会長は都内の会合で「決して楽観は許されない」と指摘。「状況に応じて柔軟に対応しなければいけない。無観客も選択肢として排除せず、安心・安全最優先で取り組まなければいけない」と訴えた。
 公明党の山口那津男代表も都内で記者団の質問に応じ、政府や大会組織委員会に対し「無観客も視野に入れ、機を逃さずに国民に発信し、安全・安心の具体策を徹底してほしい」と求めた。
 組織委などは6月21日、まん延防止等重点措置の解除を前提に、1万人を上限に収容定員の50%以内で観客を入れる方針を決めている。その見直しを求める声が与党内から相次いだのは、都内の新規感染者数が急増し、最も深刻なステージ4(感染爆発)相当に達したためだ。国立感染症研究所などは同30日、「最も楽観的なシナリオでも7月中に1日の感染者数は1000人を超え得る」との見解を公表している。
 かねて無観客や中止を求めてきた野党は主張を強めている。共産党の志位和夫委員長は1日、都内で演説し、「観客を入れた五輪は論外だ」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表は「中止は現実的ではないが、東京で感染が広がっている。そろそろ無観客を決断すべきだ」と迫った。
 首都圏4都県で感染状況の悪化傾向が続けば、政府はまん延防止等重点措置を延長する方向。だが、野党からは「緊急事態宣言に切り替えるべきだ」(国民民主党幹部)との意見も出ている。
 政府は今のところ無観客開催に慎重だ。高齢者へのワクチン接種効果が、重症者数の減少傾向に表れつつあるとみているためだ。菅義偉首相は1日、与党の無観客論について記者団から問われ、「先般、緊急事態宣言のときは無観客もあり得ると明言している。国民の安全・安心を最優先する中で対応していく」と言質を与えなかった。 (C)時事通信社