英・St. George's, University of LondonのPaul T. Heath氏らは、ノババックス社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンNVX-CoV2373の安全性と有効性を第Ⅲ相評価者盲検プラセボ対照ランダム化比較試験で検討した結果、有効率は89.7%であり、英国型変異(アルファ)株に対しても86.3%の高い有効率を示したとN Engl J Med(2021年6月30日オンライン版)に発表した。

ワクチン接種群でCOVID-19入院・死亡はゼロ

 NVX-CoV2373は、SARS-CoV-2スパイク蛋白質由来の抗原を発現するよう遺伝子組み換えナノ粒子技術を用いてつくられた組み換え蛋白ワクチンで、国内で承認を取得したファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチン、アストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンとはタイプが異なる。日本ではノババックス社が提携する武田薬品が国内で生産する計画を進めている。

 臨床試験では、英国の33施設で18~84歳の成人1万5,187例を登録し、NVX-CoV2373ワクチン5μgを接種するワクチン群と生理食塩液を接種するプラセボ群に1:1でランダムに割り付け、21日間隔で2回筋肉内注射をした。

 ベースライン時にSARS-CoV-2陰性で2回目のワクチン接種を受け、1回目接種~2回目接種後6日以内に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症しなかったワクチン群7,020例とプラセボ群7,019例の計1万4,039例(年齢中央値56歳、男性51.6%)を有効性のper-protocol解析に組み入れた。

 有効性の主要評価項目は、ベースライン時SARS-CoV-2陰性例におけるワクチン2回目接種後7日以降の症候性COVID-19発症とした。その結果、有効性の主要評価項目の発生はプラセボ群の96例に対しワクチン群では10例で、ワクチンの有効率は89.7%(95%CI 80.2~94.6%)だった。

 重症COVID-19発症は5例で、全例がプラセボ群だった。ワクチン群において、COVID-19による入院または死亡は発生しなかった。

65歳以上で88.9%、併存疾患ある例で90.9%の有効率

 サブグループ解析におけるワクチン有効率は、65歳未満の89.8%(95%CI 79.7~95.5%)に対し65歳以上では88.9%(同12.8~98.6%)、併存疾患がある例の90.9%(同70.4~97.2%)に対しない例では89.1%(同76.2~95.0%)だった。

 また事後解析において、66例でアルファ株、29例でアルファ株以外の変異株が特定された。アルファ株に対するワクチン有効率は86.3%(95%CI 71.3~93.5%)と算出された。アルファ株以外の変異株に対する有効性の推定値は96.4%(95%CI 73.8~99.5)で、ファイザー製ワクチンで報告された95.0%、モデルナ製ワクチンで報告された94.1%と類似していた。

接種2回目の副反応は79.6%で報告も、軽症で一過性

 安全性の評価では、プラセボ群に比べワクチン群で副反応が多く報告された。発現率は、1回目接種後はプラセボ群の17.9%に対しワクチン群では57.6%、2回目接種後はそれぞれ16.4%、79.6%であった。ワクチン接種後の副反応は全般的に軽症で一過性であり、発現頻度が高かったのは注射部位疼痛、疲労感、頭痛、筋肉痛だった。重篤な副反応の発現率は両群とも0.5%と低く、ワクチン接種に関連する死亡は認められなかった。

 以上を踏まえ、Heath氏らは「NVX-CoV2373ワクチンは安全で症候性SARS-CoV-2感染に対する有効率が89.7%と高く、アルファ株に対しても高い有効性を示した」と結論している。

 なお、他の試験(N Engl J Med 2021; 384: 1899-1909)で、NVX-CoV2373ワクチンは南アフリカ型変異(ベータ)株に対しても有効であることが示されている(有効率51.0%)。

(太田敦子)