新型コロナウイルス感染が再拡大する東京都に関し、東京五輪直前にも緊急事態宣言の再発令に踏み切らざるを得ないとの見方が強まっている。専門家は今月中旬には感染者がさらに増えると分析。8日には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日予定で、政府、大会組織委員会、都などは早ければ週後半にも五輪の在り方について、無観客とすることを含め調整を急ぐ。
 田村憲久厚生労働相は2日の記者会見で、東京の扱いに関し「宣言発令、まん延防止等重点措置の延長に消極的ではない。必要があり効くならやろうという思いはある」と述べ、宣言再発令を否定しなかった。
 内閣官房資料(1日時点)によると、東京の10万人当たりの直近1週間の新規感染者数は26人。宣言発令の目安となるステージ4相当(感染爆発)に達しており、なお増加傾向にある。
 厚労省の専門家会議には、今月中旬に都内の新規感染者は1000人を超えるとの分析が示されている。同会議メンバーは「宣言を出すか出さないかではなく、今の焦点はいつ出すかだ」と指摘。「増えてから宣言を出すのでは遅い。早くすべきだ」と訴える。
 判断の遅れは医療提供体制の逼迫(ひっぱく)につながりかねない。政府関係者は「たとえ今は病床に余裕があっても、感染者が増えれば保健所などがパンクする」と懸念を示した。
 政府は8日に、11日が期限の東京都、埼玉、千葉、神奈川各県への重点措置の延長と、それ以外の6道府県の解除を決定する方向だが、感染がさらに加速すれば五輪開幕前や開催中の宣言再発令は現実味を帯びる。沖縄県は宣言延長の可能性もある。
 こうした流れを見越してか、組織委の橋本聖子会長は2日の記者会見で、五輪に関し「無観客も覚悟しながら対応できるようにしたい」と言及。東京都の小池百合子知事も会見で「無観客も軸として考える必要がある」と足並みをそろえた。政府高官は「菅義偉首相は観客の有無にこだわっていない」と明かす。バッハ会長来日に合わせた5者協議で対応が決まる見通しだ。
 一方、政府は東京の感染状況の悪化に伴い、飲食店での「酒類の提供を再び停止する」との姿勢を一時示したが、具体化していない。小池知事の入院による都の「トップ不在」も影響したとみられる。
 今後の感染対策の在り方をめぐっては、政府内に飲食店へのさらなる打撃を懸念する声が根強く、対策強化を求める専門家との調整が難航する可能性もある。 (C)時事通信社