自民党は4日の東京都議選で、公明党と合わせて過半数奪還を目指したが伸び悩んだ。新型コロナウイルス感染対策や東京五輪をめぐる菅政権の対応への反発があるとみられ、秋までにある衆院選に向け危機感を強めている。
 「このままでは衆院選も厳しい」。党幹部の一人は4日夜、衆院選への焦りを隠さなかった。山口泰明選対委員長は党本部で記者団に「残念。どこが足らなかったのか精査し、衆院選に臨んでいかなければいけない」と語った。
 伸び悩みの要因は、菅政権のコロナ・五輪対応だ。東京都の新規感染者数が選挙期間中も前週の同じ曜日を上回り続ける中、菅政権は五輪の開催と有観客にこだわった。「切り札」のはずのワクチン接種をめぐる混乱も明らかになった。
 党関係者は「都民ファーストの会を引き離せないのは、都民ファが無観客開催を公約に掲げたから。都民は五輪に敏感だ。怖がっている」と指摘した。公明党の石井啓一幹事長は4日夜のNHK番組で「政府は無観客も真剣に検討してほしい」と求めた。
 前回の2017年は、小池百合子都知事が都民ファを率いて旋風を巻き起こし、自民党は過去最低の23議席に沈む歴史的大敗を喫した。このため、同党は知事選での支援などを通じて小池氏に接近。小池氏から「少なくとも敵対しない」との感触を得ていた。
 都民ファと前回組んだ公明党との選挙協力も復活。自民党内では選挙戦当初から「前回23議席の倍増は固い」との楽観論も飛び交っていた。
 過労を理由に入院していた小池氏が都民ファを激励したのは選挙戦最終日。党関係者は「小池氏への同情票もあった」と語った。
 菅義偉首相は4日、選挙プランナーの三浦博史氏と首相公邸で意見交換。席上、「結構、都民ファが取るみたいだね」と語ったという。選挙期間中、首相は告示日の出陣式を除いて演説のマイクを握らなかった。自民党は4月の衆参3選挙でも全敗しており、党内では「首相の下で衆院選を戦うのは不安だ」(岸田派中堅)と、「選挙の顔」としての首相に懸念を示す声も漏れた。
 ◇すみ分けに手応え
 一方、立憲民主党と共産党は今回、1~2人区を中心に候補者を「すみ分け」。立民が共産候補を、共産が立民候補を応援するケースもあった。共産党の志位和夫委員長は4日夜のNHK番組で「かなり効果を挙げ、共闘が進んだ。総選挙につなげたい」と述べ、5日以降、衆院選協力の協議加速を立憲に働き掛ける考えを示した。
 ただ、両党が選挙協力を深めることに、立民の支持団体である連合は反発している。国民民主党も反共産の立場。衆院選は今秋に迫っており、立民は難しいかじ取りを迫られそうだ。福山哲郎幹事長は5日未明、記者団に「まずは国民、社民両党と(協議を)やる。その後、共産党とどのような形でやれるか調整したい」と述べるにとどめた。 (C)時事通信社