高ホモシステイン血症がアルツハイマー病(AD)の発症リスクを上昇させるといわれる中、血中ホモシステイン値を低下させる作用を持つビタミンB類や葉酸が注目されている。しかし、ビタミンBサプリメントによる認知機能の低下予防効果については明らかにされていないとして、中国・Fenyang College of Shanxi Medical UniversityのShufeng Li氏らは、ビタミンBサプリメント摂取と認知機能との関連について検討。結果を、BMC Geriatr2021年6月16日オンライン版)で発表した。

7,500例超・21件のRCTをメタ解析

 血中のビタミンB値の低下とホモシステイン値の上昇は酸化ストレスを介して脳萎縮を引き起こし、高齢者における認知機能低下に関与しているといわれる。ビタミンB12およびB6、葉酸は血中ホモシステイン値を低下させる働きを有していることから、Li氏らはシステマチックレビューおよびメタ解析を行い、ビタミンB類のサプリメント摂取による高齢者の認知機能低下に対する予防効果を検証した。

 対象は、2019年12月1日までに開始され2020年6月1日時点でPubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、Scops、Science Direct、PsycINFOに掲載されたRCT 21件(7,571例)。軽度認知機能障害(MCI)または認知機能が正常な中高年層(50歳超)における、ビタミンBサプリメント摂取による認知機能低下の予防効果を検討したプラセボ対照試験とした。なおADまたは認知症患者や、頭部外傷または脳腫瘍による認知機能低下例などは除外した。

 21件中6件はMCI患者、15件は認知機能が正常な高齢者が対象で、介入期間は1カ月〜3年4カ月とばらつきがあった。ベースライン時の血中ホモシステイン値は9.7〜20.6μmol/Lと高かった。平均年齢はプラセボ群(3,759例)が60〜82歳、ビタミンBサプリメント摂取(介入)群(3,812例)が60〜83歳であった。

包括的認知機能と血中ホモシステイン値は改善

 メタ解析では認知機能〔包括的認知機能(15件)、情報処理速度(10件)、エピソード記憶(15件)、遂行機能(11件)〕および血中ホモシステイン値(11件)について評価し、ビタミンBサプリメント摂取による認知機能低下の予防効果を検討した。

 その結果、プラセボ群に対し介入群では包括的認知機能〔標準化平均差(SMD)0.36、95%CI 0.18〜0.54、P<0.01〕および血中ホモシステイン値(同−4.59、−5.51〜−3.67、P<0.01)で有意な改善が示されたものの、情報処理速度(同0.06、−0.12〜0.25、P=0.49)、エピソード記憶(同0.10、−0.04〜0.25、P=0.16)、遂行機能(同−0.21、−0.49〜0.06、P=0.13)では有意な改善は確認されなかった。なお、エビデンスレベルが低い試験を除外しても、効果サイズおよび異質性に明確なばらつきは見られなかった。

 以上から、Li氏らは「ビタミンBサプリメント摂取は高齢者の認知機能を維持または低下させる可能性が示唆された。MCI患者および認知機能が正常な高齢者に対する認知機能低下予防効果が期待でき、同サプリの摂取が推奨される」と結論。さらに大規模なRCTによる予防効果の検証が必要との見解を示している。

松浦庸夫