運動不足や睡眠不足が死亡リスクを上昇させることは知られている。では、両者を合わせた場合のリスクはどうか。オーストラリア・University of SydneyのBo-Huei Huang氏らは、運動と睡眠の両者が不足状態の人の各死亡リスクについて検討し、結果を、Br J Sports Med2021年6月29日オンライン版)に報告した。

38万人超を運動および睡眠のレベル別に分類

 運動不足と睡眠不足はそれぞれ全死亡、心血管疾患(CVD)死、がん死亡の各リスクを上昇させる危険なライフスタイルとして知られている。そこでHuang氏らは、両者の組み合わせと各死亡リスクの関連について検討した。

 対象は2006〜10年に37〜73歳でUK Biobankに登録された50万2,616人のうち、質問票への回答、面接、身体測定データが全てそろっている38万55人(平均年齢55.9歳、女性55%)。CVDおよびがんの既往、閉塞性睡眠時無呼吸、BMI 40以上などは除外した。

 運動については、ベースライン時の運動レベル別に高強度運動群(METs 1,200以上/週)、中強度運動群(同600〜1,200未満/週)、低強度運動群(同600未満/週)、METsにかかわらず中高強度運動なし(no MVPA)群に分類した。一方、睡眠については概日リズム型、睡眠時間、不眠の有無、いびき、日中の眠気について0〜5点で評価し、「朝型・7〜8時間睡眠・通常は不眠なし・いびきなし・日中の眠気なし」のタイプを良好睡眠群(4点以上)、以下スコアに応じて通常睡眠群(2〜3点)、不良睡眠群(1点以下)に分類した。これらの分類を基に運動および睡眠の複合分類で対象を12種類に振り分けた。

運動不足+睡眠不良で全死亡リスク1.6倍、肺がん死は2倍

 平均11.1年追跡したところ、全死亡は1万5,503例で発生し、主な内訳は全CVD死亡が4,095例、全がん死亡が9,064例などであった。

 Cox比例ハザードモデルを用い、運動および睡眠の状況別に死亡リスクを求めた。その結果、運動においては高強度運動群に対する全死亡の調整後ハザード比(HR)は中強度運動群が1.05(95%CI 1.01〜1.10)、低強度運動群が1.08(同1.02〜1.14)、no MVPA群が1.25(同1.20〜1.31)と、全死亡リスクは運動不足の状況に応じて徐々に増大した。同様に睡眠についてもHRを求めた結果、良好睡眠群に対する全死亡の調整後HRは通常睡眠群が1.05(同1.02〜1.09)、不良睡眠群が1.23(同1.13〜1.34)であった。全CVD死で同様の結果が認められた。

 次に、運動および睡眠の状況を組み合わせて死亡リスクを検討した。その結果、高強度運動群+良好睡眠群に対するno MVPA群+不良睡眠群の補正後HRは全死亡が1.57(95%CI 1.35〜1.82)、全CVD死が1.67(同1.27〜2.19)、全がん死亡が1.45(同1.18〜1.77)、肺がん死亡が1.91(同1.30〜2.81)であった。

 今回の結果から、Huang氏らは「睡眠不良と全死亡および特定要因死亡のリスク上昇の関連は運動不足により増強することが示唆され、相乗効果を生み出している可能性がある」と結論。「研究および臨床において、運動と睡眠の両方の行動変容に働きかけることが必要」との見解を示している。

松浦庸夫