米・Washington University School of MedicineのJackson S. Turner氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するファイザー製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン・トジナメランを2回接種した健康な成人41例の観察研究を実施。その結果、ワクチン接種後に親和性の高い抗体応答を長期維持する上で重要な役割を果たすリンパ節の胚中心(germinal center;GC)の応答が、1回目接種から15週(2回目接種から12週)経過後も低下することなく、高いレベルで維持されていた、とNature(2021年6月28日オンライン版)に発表した。中でも、SARS-CoV-2の感染歴がある人ではより強い免疫力を獲得する可能性が示された。

胚中心B細胞数が1回接種から15週でも最大値を維持

 SARS-CoV-2ワクチン接種により、抗体産生・分泌を担う免疫細胞の形質芽細胞(PB)およびGCB細胞が誘導されるが、詳細な動態は不明である。そこで、研究グループはトジナメランを2回接種した成人の末梢血を用いて検討した。

 研究対象は、トジナメランを3週間隔で2回接種した健康な成人41例(年齢中央値37歳、男性56.1%)で、このうち8例がSARS-CoV-2感染歴を有していた。

 41例の末梢血検体による評価では、SARS-CoV-2スパイク(S)蛋白質に結合する抗体を分泌するPB数が1回目接種から4週間後(2回目接種から1週間後)の時点で最大となった。その後は減少に転じ、3週間後には検出不能になった。

 このPBは、SARS-CoV-2感染歴のない14例の腋窩リンパ節検体でも全例で検出された。これら14例のリンパ節中のPBについて調べたところ、1回目接種から5、7、15週のいずれの時点でも全例で検出された。

 また、腋窩リンパ節検体による検討では、1回目接種後に全例でSARS-CoV-2のS蛋白質に結合するGCB細胞が検出された。GCB細胞数は、1回目接種から15週後(2回目接種から12週後)の時点で検体採取した10例中8例においても、最大値またはほぼ最大値を維持していた。

中和抗体は感染歴のある人で接種後に急速上昇

 さらに、遺伝子組み換えモノクローナル抗体(mAb)を作製して胚中心応答が標的とするドメインを評価した結果、mAb 37個中17個がS蛋白質の受容体結合(RBD)ドメイン、6個がN末端ドメインを標的とし、3個が季節性ベータコロナウイルスのS蛋白質と交叉反応性を示した。交叉反応性を示したmAbは、SARS-CoV-2のS蛋白質のみを認識したmAbと比べて体細胞超変異の発生頻度が高く、SARS-CoV-2への抗体を産生するメモリーB細胞由来であることが示唆された。

 また、SARS-CoV-2感染歴がない例に比べてある例では、ワクチン接種後の血清中の中和抗体価が急速かつ著明に上昇しており、より多くの抗体がつくられていた。一方、英国型変異(アルファ)株および南アフリカ型変異(ベータ)株に対する中和抗体価は、米国における初期の流行株と比べて低かった。

 以上を踏まえ、Turner氏らは「SARS-CoV-2に対するmRNAワクチン接種は、持続的なGCB細胞応答を誘導し、強力な液性免疫の獲得を可能にすることが示された」と結論している。

(太田敦子)