【シドニー時事】2032年の五輪候補地オーストラリア・ブリスベンを州都とするクイーンズランド州のパラシェ州首相が、国際オリンピック委員会(IOC)による開催地決定を見届けようと近く日本を訪問する計画だが、豪州国内で反対の声が広がっている。新型コロナウイルス対策で国民の帰国が制限されている中、政治家だけに特別措置を認めるのは「不公平」と受け止められているためだ。
 IOCは32年の夏季五輪・パラリンピックをブリスベンで開催する提案を東京で開く総会で今月21日に協議し、承認する公算が大きい。豪州は海外渡航を原則禁止しているが、国益のための渡航などは例外的に認められている。
 パラシェ氏は6日の記者会見で、「(五輪招致の成功に向け)連邦と州、地元から成る強力な代表団を持つことが非常に重要だ」と主張。またテレビ番組でも、日本から帰国した後「ホテルで14日間の隔離措置を受ける」と説明した。
 一方、豪州では隔離用のホテルを確保するために入国者の人数を制限しており、海外に取り残された国民の帰国が大きな課題となっている。その上、海外から持ち込まれた変異株の感染が拡大する事例が相次ぐ中、入国者数を今月中に半減することが2日、連邦と各州の合同会議で決まったばかり。クイーンズランド州が制限の強化を求めていたことから、同州の首相であるパラシェ氏の発言が反発を招いている。
 ネット署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」には、パラシェ氏の出国禁止を求める署名が6日午後9時(日本時間同日午後8時)ごろに5万人を突破した。サイトには「母は孫に会いに来られないのに、州首相は五輪を観戦するために渡航が認められるべきなのか」などの書き込みがあった。 (C)時事通信社