喫煙は心房細動(AF)の危険因子の1つとして知られるが、心臓手術後AF(POAF)発症との関連についてはコンセンサスが得られていない。そうした中、中国・Jiangxi Provincial People's Hospital Affiliated to Nanchang UniversityのQin Wan氏らが喫煙とPOAF発症との関連についてメタ解析を行った結果、両者に関連は認められなかったことをMedicine2021; 100: e26179)に報告した。

従来のメタ解析で残された課題、喫煙のAF"予防効果"も示唆

 Wan氏らによると、喫煙がAF発症リスクを上昇させることを示唆したメタ解析や、喫煙が血栓性合併症、出血、死亡を含むAF関連アウトカムと関連することが確認された別のメタ解析などから、喫煙が不整脈を誘発することはもはや疑う余地がないという(Int J Cardiol 2016; 218: 259-266Int J Cardiol 2016; 222: 289-294)。

 一方、冠動脈バイパス術(CABG)、弁膜症手術、植え込み型左室補助人工心臓(LVAD)術を含むPOAFと喫煙との関連は明確にされていない。むしろ、喫煙者はニコチン曝露により交感神経活性およびアドレナリンへの耐性が高いため、喫煙によるPOAFの発症予防効果が示唆されたとする報告もある(Med Hypotheses 2005; 64: 1073-1079)。

 こうした背景の下、同氏らは2019年7月までにPubMedおよびEMBASEに掲載された、心臓手術施行患者で喫煙とPOAF発症リスクの関連を検討した論文を抽出。成人患者を対象としたランダム化比較試験または観察研究に限定し、レビュー、レター、症例報告、論説などは除外し、1996〜2016年に掲載された36報についてメタ解析を行った。

喫煙とPOAF発症に関連なし、喫煙が主な曝露に限定でリスクは減少

 その結果、喫煙とPOAF発症リスクに有意な関連は確認されず〔オッズ比(OR)0.89、95%CI 0.79〜1.02〕、高い異質性が示された(I2=89%)。心臓手術の術式別に検討しても同様の結果が得られた〔CABG(OR 0.91、95%CI 0.77〜1.07)、弁膜症手術(同0.15、0.01〜1.56)、両者の統合(同0.91、0.70〜1.18)〕。

 さらに喫煙を主な曝露因子とした5報に限定した解析では、喫煙はPOAF発症リスクの有意な減少と関連しており(OR 0.65、95%CI 0.58〜0.72)、有意な異質性は認められなかった(I2=0%)。

 以上から、Wan氏らは「最近の論文に基づくわれわれのメタ解析により、喫煙と心臓手術施行患者におけるPOAF発症リスク上昇との関連は認められなかった」と結論。「喫煙を主な曝露因子として検討した論文はわずか5報で、残りは交絡因子としていたことから、今後の研究で因果関係を確認する必要がある」との見解を示している。

松浦庸夫