日本腎臓学会が実施した「COVID-19ワクチン接種と肉眼的血尿出現の関連性に関する調査研究」において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種後、24例が肉眼的血尿を呈していたことが明らかになった。そのうち、3割はIgA腎症の未診断例であったことから、ワクチン接種により肉眼的血尿が誘発された可能性がある。そのため同学会では、IgA腎症未診断の血尿陽性者は、同症の予備群として経過観察するよう求めている。

患者対象は接種後に肉眼的血尿を来した受診者

 今回の調査は、同学会評議員581人(内科・腎臓内科339人、382施設)を対象にウェブアンケート(調査期間2021年6月2~26日)により行った。評議員以外に症例に対応した外来担当医からの回答も受け付けた。

 対象患者は、2021年2月17日〜5月31日にSARS-CoV-2ワクチンを接種し、接種後に肉眼的血尿を来して医療機関を受診した者とした。72施設(19%)から回答を得た(6月30日現在)。

 なおワクチンは、接種開始後早期であったため全てトジナメランだった。

肉眼的血尿陰性化後、6割はクレアチニン上昇見られず

 肉眼的血尿陽性は24例(40歳以下67%、女性83%)が報告された。年齢別に見ると20~29歳が10例で最も多く、次いで30~39歳(6例)、40~49歳(5例)の順で、女性(20例)に多く見られた。

 肉眼的血尿陽性出現の割合は、2回目接種後が67%と多く(1回目接種後25%、両方9%)、陽性持続期間は1週間以内が79%を占めた。ワクチン接種による主な副反応は37.5℃以上の発熱、倦怠感、頭痛などだった。

 肉眼的血尿陽性例のうち、70%が腎生検により既にIgA腎症と診断されていた。一方、未診断例(30%)では、ワクチン接種により肉眼的血尿が誘発された可能性があるという。

 肉眼的血尿が陰性化した後、63%で血清クレアチニン値の上昇は見られず、大半が一過性の尿所見悪化にとどまっていた。

 同学会は今後、一般市民へのワクチン接種の進展を見据え、IgA腎症患者では接種後に肉眼的血尿が出現するリスクを視野に接種の指導に当たるよう求めた。また、IgA腎症未診断例でも血尿が出現する可能性があるため、血尿陽性者についてはIgA腎症予備群として経過を観察するよう促した。

(田上玲子)