首都圏4都県での競技を無観客で開催することになった東京五輪に関し、スポンサー企業は「安全、安心な大会開催に向けた判断」(日本生命保険)などおおむね理解を示す。それでも、観戦ツアーの中止や代金の払い戻しなど、開幕直前で急きょ対応に追われる企業は多い。二転三転した政府の対応には、「失策だ」などと批判も出ている。
 自動運転型の電気自動車を選手村の送迎バスとして活用するトヨタ自動車は、「安全な大会運営にモビリティの力で少しでも貢献したい」とコメント。パナソニックも「スクリーンを通して歓声や感動が世界中に広がるよう貢献する」として、引き続き五輪の機運を高めたい考えだ。
 一方、旅行大手のJTB、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT―CTホールディングス、東武トップツアーズは公式観戦ツアーを中止すると発表した。旅行代金を支払い済みの顧客に対しては個別に連絡して払い戻す方針。だが、「楽しみにしていた方にこのような案内をすることは心苦しい」(東武トップツアーズ)と厳しい決断だったことを明かす。
 JR東日本など鉄道会社は、試合に合わせた深夜や早朝の臨時列車の運行を取りやめる。全日本空輸は、スポンサーの観戦枠で確保したチケットを取引先などに配布しないことを決めた。
 無観客開催は、一般観客の入場を前提にしていた企業活動には大きな痛手。観戦のために予約していたホテルやレストランなどはキャンセルが相次ぐことが予想される。それだけに、「もう少し早く決めてもらいたかった」との声は少なくない。あるスポンサー企業は、「もっと早く新型コロナウイルスワクチンを調達できていれば有観客でできたかもしれない。政府の失策だ」と語気を強めた。 (C)時事通信社