東京五輪が首都圏4都県の会場で無観客となったことを受け、自民党内には大会が盛り上がりを欠く事態への懸念が広がった。経済効果も限定的とみられるため、秋までに行われる衆院選に悪影響を及ぼす可能性があるというわけだ。野党は北海道、宮城、福島など5道県でも無観客とし、五輪関係者やスポンサーの招待者の観戦も認めない「例外なき無観客」を主張した。
 菅義偉首相は五輪・パラリンピックの「感動」や「興奮」をきっかけに社会全体が活気づき、経済活動が回復する展開を期待し、有観客にこだわっていた。無観客ではもくろみ通りの効果は望みにくく、自民党の閣僚経験者は「今後の政権浮揚のシナリオは難しい」と唇をかんだ。
 世論の不満を何とか抑えたいところで、首相は9日、「(新型コロナウイルス感染の)水際対策をはじめ安全・安心のために全力で取り組んでいきたい」と首相官邸で記者団に強調。自民党の森山裕国対委員長は「国民に非常に申し訳ない」と述べた。
 公明党の山口那津男代表は記者団に、「妥当な判断」と評価しつつ、政府に「開催の意義を国民に理解してもらえるよう努力してほしい」と注文を付けた。
 これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に「『コロナに打ち勝った証し』として開催すると言っていた。なぜやるのか、納得する説明はない」と首相を批判。観客の在り方については「統一感を持たせるためにも無観客でそろえた方がいい」「五輪ファミリーが入るのは筋が通らない」と訴えた。安住氏は宮城県選出。
 共産党の田村智子政策委員長は記者会見で、改めて中止を求めつつ「五輪を契機に感染が全国に拡大する危険性を否定できない。有観客はおよそ考えられない」と語った。 (C)時事通信社