【ロンドン時事】英イングランドで導入中の新型コロナウイルス感染規制が、19日にほぼ全面的に解除される見通しとなった。ロックダウン(都市封鎖)や厳しい規制下に1年半近く置かれてきた国民が待ち望んだ「自由の日」。ただ、変異株が猛威を振るう中での解除はリスクを伴い、ジョンソン首相は「大いなる賭け」(英メディア)に出た形だ。
 首相は5日の記者会見で、室内の人数制限やマスク着用義務などの規制を19日から撤廃する方針を表明。「われわれはウイルスと共存することを学び始めなくてはならない」と述べ、法的義務ではなく「個人の責任」で感染対策に努め、日常を取り戻そうと呼び掛けた。データを見極めた上で12日に最終決定する。
 ワクチン接種が進む英国では、9日時点で成人の9割近くが少なくとも1回の接種を済ませた。一時は1000人を超えた1日当たりの死者数も最近は20人台まで減少。首相はこうした「ワクチン効果」により、感染者がある程度増えても重症化を防ぎ、医療を圧迫する事態は起きないと判断した。
 ただ、懸念は最近になって感染者数が右肩上がりに増えていること。インド由来のデルタ株が急速に広がったためで、9日発表の1日当たりの新規感染者は第2波での記録と同水準の3万5700人以上。このペースが続けば規制解除の19日までに5万人、その後は10万人以上に達するとの予想も出ている。
 感染急増の中での規制解除をめぐっては、高リスクだとして不安視する見方も強い。一部専門家や野党は計画延期や一部規制の維持を要求。総勢100人以上の英米などの科学者が英医学誌ランセットに共同寄稿し、「(政府計画は)時期尚早で危険。高い感染水準を容認するいかなる戦略も非論理的かつ非倫理的だ」と再考を迫った。 (C)時事通信社