神戸大学感染症センター臨床ウイルス学分野教授の森康子氏らの研究グループは昨日(7月13日)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第1~4波時に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の従来株および英国型変異(アルファ)株に感染し、神戸市内の医療機関を受診した81例の血清を用いて中和抗体価を解析。無症状や軽症を含むSARS-CoV-2感染者のほとんどがアルファ株やインド型変異(デルタ)株、ブラジル型変異(ガンマ)株、南アフリカ型変異(ベータ)株に対する中和抗体を保有することを確認したと発表した。「COVID-19回復者は他の変異株への再感染または重症化リスクが低い可能性が示唆される」としている。

従来株とアルファ株の中和抗体が全例で確認

 研究は、兵庫県立加古川医療センターを受診したCOVID-19患者で、第1波(2020年3~6月)時の患者18例、第2波(2020年7~10月)時の患者20例、第3波(2020年10月~21年2月)時の患者23例、第4波(2020年3月~)時の患者20例の血清を用いて行った。患者の重症度の内訳は、無症状~軽症26例、中等症~重症19例、超重症(人工呼吸器装着)37例。

 解析対象の全例で中和抗体の保有が確認され、従来型とアルファ株の感染者で同程度の中和抗体価が認められた。また、ガンマ株抗体は99%(81例中80例)、ベータ株抗体も96%(81例中78例)とほぼ全例で中和抗体の保有が確認された。一方、これら2つの変異株はアルファ株に比べ中和活性が低いことも明らかになった。

 重症度別の解析では、重症度が高い例ほど変異株に対する抗体価が高い傾向が認められた。また、これまでの報告と同様、無症状例や軽症例ではいずれの変異株に対しても抗体価は低い傾向があったが、ほとんど全例が変異株に対する中和抗体を保有していたという。

再感染リスクの評価には追跡調査が必要

 今回の研究結果から、研究グループは「COVID-19の回復者は他の変異株への再感染または重症化のリスクが低い可能性が示唆される」と指摘。また、森氏は会見で「ワクチン接種者も同様の効果があると考えられる」と述べた。

 一方、どの程度の中和抗体価であれば再感染が防げるか、または重症化を抑えることができるのかに関しては「直接的なデータはないため、今後追跡していく必要がある」と課題を提示。SARS-CoV-2変異株への再感染リスクの評価に向けて「今後はCOVID-19に対する中和抗体以外の免疫応答、例えば免疫記憶の持続や細胞性免疫などに関しても詳細に解析することが必要」としている。

(小沼紀子)