政府が酒類販売事業者や金融機関を通じて、酒類の提供を続ける飲食店に「圧力」をかけようとした問題をめぐる混乱は14日、一段と拡大した。野党側は西村康稔経済再生担当相の辞任を要求するとともに、菅義偉首相の責任も追及。政府側は火消しに追われた。
 首相は同日、首相官邸で記者団に対し、「多くの方に迷惑を掛け、私からもおわびしたい」と陳謝。事業者らへの要請は、首相も参加した7日の関係閣僚協議で事務方が報告しているが、自身の責任に関しては「具体的内容は議論していないので承知していない」と述べるにとどめた。
 衆院内閣委員会の閉会中審査でも、この問題が論点となった。立憲民主党の今井雅人氏は「優越的な地位を使っていると言われても仕方ない」と非難。閣僚協議での報告を踏まえ、「首相が責任を持って発出したということでいいか」と迫った。
 西村氏は「飲食店、酒販業界に大変な不安を与え、深く反省し、申し訳なく思っている」と謝罪。その上で、要請の経緯について「何とか(新型コロナウイルスの)感染拡大を抑えなければいけないという中で整理された」と説明した。
 首相の責任に関しては、閣僚協議では緊急事態宣言の期間や対象地域、必要な支援策などに議論が集中し、「要請の具体的な内容は議論していない」と釈明。「私の責任でコロナ対策室が関係省庁と調整して決定した」とも語ったが、今井氏から辞任を求められると、「コロナ感染を抑えるために全力を挙げることで責任を果たす」と拒んだ。
 立民など野党3党の国対委員長は14日、国会内で会談し、西村氏の辞任を要求する方針で一致。この後、立民の安住淳国対委員長が自民党の森山裕国対委員長に伝えたが、森山氏は拒否した。野党側は政権追及を続けるため、憲法53条に基づく臨時国会の早期召集を求める構えで、週内にも党首会談を開いて調整する。
 一方、政府・与党は今秋までに行われる衆院選への影響を懸念。酒類の小売業者でつくる「全国小売酒販政治連盟」が、支援拡充に応じなければ「(会員に)選挙協力を呼び掛けることはできない」と自民党へ申し入れたのに対し、首相は14日夕の新型コロナ対策に関する会議で「協力金の早期支給に努める」と強調した。 (C)時事通信社