23日に開幕する東京五輪では、サイバー攻撃への懸念が高まっている。近年は金銭目的や国家の関与が疑われる攻撃が活発化。新型コロナウイルスの影響でほぼ無観客での開催となる今回の五輪は国際的な注目を集めており、関係機関は政治的主張や売名を目的としたケースも想定し、警戒を強めている。
 五輪を狙った攻撃は過去にも起きている。2016年リオデジャネイロ五輪では、世界反ドーピング機関(WADA)のデータベースから盗まれた各国選手の医療情報が、インターネット上に暴露された。18年平昌冬季五輪では開会式直前にシステム障害が発生し、チケットの印刷などが一時できなくなった。
 米司法省は、ともにロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の部隊が行ったと断定。ロシア側は関与を否定しているが、ロシアが行った組織的なドーピングに対する処分への報復という見方が強い。
 東京大会もロシアは選手団の派遣が禁止され、選手は個人資格で参加する。英政府は昨年10月、大会の関係団体に対し、GRUによるサイバー攻撃の「偵察活動」が行われたと発表した。
 中国や北朝鮮なども国家が関与する攻撃を行っているとされる。特に北朝鮮は東京大会に参加しないため、警察関係者は「自国の選手に影響がなく、攻撃を行う環境は整っている」と指摘する。
 パソコンのデータを暗号化し、解除と引き換えに金銭を要求する「ランサムウエア」攻撃も世界中で猛威を振るっており、大会のスポンサー企業などが狙われる恐れがある。東京五輪・パラリンピック組織委員会関係者は「これまでの被害事例を参考に、対策を施している」と強調する。
 また、環境や人権問題など政治的な主張を訴えることを目的とした集団「ハクティビスト」や、技術力の誇示を狙ったハッカー集団からの攻撃も想定されている。
 サイバーセキュリティーに詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長は「サイバー攻撃は東京大会でも当然あると考えるべきだ。被害を受けても、早期に復旧して深刻化させないことが重要だ」と指摘した。 (C)時事通信社