【ニューヨーク時事】エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが共同開発し、米国で6月に使用が始まったアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」をめぐる波紋が広がっている。大手医療機関が不使用を決めるなど、普及に不透明感も漂う。
 同薬の有効性に懐疑的な見方がある中で米食品医薬品局(FDA)が承認したため、物議を醸している。FDAのウッドコック長官代行は今月、承認に至るまでのバイオジェンとFDAとのやりとりが適正だったか調査するよう、米厚生省の監査部門に要求。政府機関が出した決定に対して当該機関の上層部が調査を求める異例の事態に発展した。
 米下院の二つの委員会も、同薬の承認をめぐる調査に着手した。バイオジェンは追加の臨床試験(治験)を行い有効性を改めて確認する方針で、調査にも協力する意向を示している。
 一方、二つの米大手医療機関は今月、アデュカヌマブを当面は患者に使用しない方針を表明した。このうち、オハイオ州を拠点とするクリーブランド・クリニックは「安全性や有効性に関するデータを踏まえ、現時点では不使用とすることを決めた」と説明した。
 同薬が医療保険のカバー対象になるか否かも、普及のカギを握る。公的保険を管轄する厚生省の担当部局は今月、審査手続きを始めたばかりで、「新たな治療法(である同薬)の審査を極めて慎重に行いたい」として患者団体などから広く意見を募る考え。最長で指針を出すまでに半年、最終決定に9カ月かかる見通しだ。米民間保険大手のユナイテッドヘルス・グループやヒューマナは、同部局の指針が出るのを待って対応を決めるとしている。 (C)時事通信社