【サンパウロ時事】世界で最も殺人が多い国の一つであるブラジルで、2020年に暴力的に命を奪われた市民が前年比4.8%増の5万33人に上ったことがNGO「ブラジル治安フォーラム」が15日に公表した報告書で分かった。殺人発生率は10万人当たり23.6人で、近年0.3人で推移している日本の80倍近くに達する。ブラジルでは17年の30.9人をピークに減少していたが、再び上昇に転じた。
 被害者の9割は男性で、4分の3は黒人。18~24歳が3割を占めた。8割で銃が使用されているが、20年に新規登録された銃は前年の2倍の18万6071丁に達した。
 同フォーラムは原因として、「国民全員が銃を持ってほしい。武装していれば屈服しなくて済む」とうそぶく右派ボルソナロ大統領が治安対策として推進する銃規制緩和で市中に武器が増加したことや、麻薬組織間の抗争激化を指摘。さらに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、密集を避けるため犯罪者が大量に仮釈放されたことなども挙げた上で、「社会的隔離が市民の経済状況を逼迫(ひっぱく)させて大量の失業者を生み出し、精神状態を悪化させた」とコロナの間接的な影響を強調した。
 一方、警察官により射殺された人の数は過去最多の6416人に達した。ブラジルではファベーラ(貧民街)で麻薬組織メンバーの疑いをかけられた若者が警官に非合法的に射殺されるなど、警察の過剰な暴力が社会問題になっている。 (C)時事通信社