アトピー性皮膚炎(AD)は、小児の10~20%が発症していると推計される代表的なアレルギー性疾患である。山梨大学大学院社会医学講座准教授の横道洋司氏らは「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いて、出生月とAD発症率との関連を検討。その結果、秋・冬生まれの小児は春・夏生まれの小児に比べ生後半年から3歳までにADを発症しやすかった一方で、日照時間や湿度といった気象条件との関連は認められなかったと、BMJ Open2021; 11: e047226)に発表した。

出生児10万例超で検討

 ADの危険因子として、北半球では秋・冬生まれが挙げられている。日本の研究でも、秋生まれにADが多いと報告されているが、研究規模が小さく地域に偏りがある。また、肌の乾燥や痒みがADの増悪因子とされるが、気象条件との関連を検討した研究はほとんど行われていない。

 そこで横道氏らは今回、エコチル調査のデータを用いて、2011~14年に出生した児10万304例を対象に、出生月と生後半年から3歳までのAD発症との関連を検討した。また、気象庁のデータを用いて、出生地における生後6カ月間の日照時間および湿度とAD発症との関連についても調べた。

10~12月出生児群のAD発症リスクは4~6月出生児群の1.2倍

 まず、出生月で4分類(①1~3月②4~6月③7~9月④10~12月)し検討したところ、AD発症率は10~12月出生児群で最も高く、4~6月出生児群で最も低かった(P<0.0001 vs. 10~12月出生児群)。この順位は生後半年から3歳まで不変だった。

 Cox回帰モデルを用いた解析では、AD発症リスクは4~6月出生児群に対し、10~12月出生児群で20%有意に高かった〔調整後ハザード比(aHR)1.20、95%CI 1.12~1.29、P<0.05〕。

母親のアレルギー性疾患の既往歴でリスク1.69倍

 次に、両親のアレルギー性疾患の既往歴とAD発症との関連を検討した。解析の結果、母親にアレルギー性疾患の既往歴がある児は、ない児に比べAD発症リスクが69%有意に上昇した(aHR 1.69、95%CI 1.61~1.77、P<0.05)。一方、父親にアレルギー性疾患の既往歴がある児では18%のリスク上昇にとどまり(同1.18、1.12~1.24、P<0.05)、母親の影響がより大きかった。

 気象条件とAD発症については、生後6カ月間の日照時間および湿度とAD発症に有意な関連は認められなかった。

 横道氏らは今回の研究の限界として、ADの調査が医療機関の診療記録に基づくものではなく、自己申告であった点を挙げた。その上で「3歳までのAD発症率は10~12月生まれで高く、4~6月生まれで低かった。しかし、日照時間や湿度の影響は認められなかった」と結論。さらに、今後の課題について「ADの発症には皮膚のバリア機能の低下や痒みが関与している。これらにつながる環境因子について、さらに検討を重ねる必要がある」と付言している。

(比企野綾子)