東京五輪の聖火は国立競技場で23日夜に行われる開会式で最終点火される。ギリシャで昨春に採火され、大会延期を経て今年3月に福島県から始まった47都道府県のリレー。コロナ禍で祝祭感はなく、聖火がつながったとも言いがたい。
 始まる前から機運はしぼんでいた。大会組織委員会の森喜朗前会長が、感染対策をめぐって「人気のあるタレントは田んぼで走ったら一番いい」と失言。辞任の引き金となった女性蔑視発言も絡み、著名人も含めランナーの辞退が相次いだ。
 福島県のサッカー施設、Jヴィレッジでの出発式は無観客で行われた。当初から実効性は疑わしかったが、組織委は沿道で観覧する際は密を避けるよう訴えた。4月に入ると、関係者が「最近は聖火リレーがニュースにならない」と嘆いた。
 4月13~14日の大阪府が初めて公道での走行を中止し、万博記念公園内で一般客を入れずにリレー。感染拡大もあって他の一部自治体もこれに続いた。組織委によると11道府県が公道での走行を全て取りやめ、9都県で一部中止。一日の終わりに聖火が到着するはずだった会場での点火セレモニーやトーチキスなどに縮小された。
 47都道府県を121日間かけてほぼ一筆書きで回るという前提が早々に崩れても、組織委はリレーの維持にこだわった。五輪に詳しい海外の識者は「スポンサー(のための)リレーだから」と皮肉った。コロナ感染が収まらず開催への賛否も渦巻く中で、粛々と進んだ聖火リレーだった。 (C)時事通信社