英・University of EdinburghのThomas M. Drake氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で英国の302施設に入院した成人7万人超を対象に、COVID-19合併症について検討。その結果、COVID-19入院患者の約半数が少なくとも1つの合併症を発症し、合併症の発症者では入院前と比べてセルフケア能力が有意に低下していたとLancet(2021; 398: 223-237)に発表した。日常生活に支障を及ぼす可能性が高く、同氏らは「COVID-19および合併症は今後数年間、医療と福祉に大きな負担となる可能性がある」と警告している。

男性、高齢が合併症の独立予測因子

 対象は、2020年1月17日~8月4日に英国の302施設に入院した19歳以上のCOVID-19患者7万3,197例(平均年齢71.1歳、男性56.0%、併存疾患あり81.0%)。主要評価項目は入院中のCOVID-19合併症の発症率とし、合併症と年齢、性、併存疾患の関連を検討した。

 解析の結果、全体では49.7%、生存例では43.5%が少なくとも1つの合併症を発症していた。最も発症率が高かった合併症は急性腎障害(24.3%)で、次いで複雑性呼吸器疾患(18.4%)、全身性合併症(16.3%)、心血管疾患(12.3%)、消化管・肝疾患(10.8%)、神経学的疾患(4.3%)の順だった。

 合併症の発症率は加齢とともに上昇し、19~49歳の38.9%と比べ50歳以上では51.3%に上昇した。発症率が最も低かったのは併存疾患がない19~29歳(21.2%)、最も高かったのは2つ以上の併存疾患を有する60~69歳(57.9%)だった。

 また、合併症の発症率は女性に比べて男性で高く、60歳以上の男性で最も高かった(60歳以上:男性54.5%、女性48.2%、60歳未満:同48.8%、36.6%)。併存疾患がない若年層(19~29歳)でも、男性では女性に比べて合併症の発症率が大幅に高かった(男性28.4%、女性16.6%)。

 年齢、性、剥奪指標、併存疾患、登録施設を調整後の解析では、高齢および男性がCOVID-19合併症発症の独立した予測因子であることが示唆された。また、特定の臓器の併存疾患を有する患者では、同じ臓器に合併症を発症するリスクが高かった。

神経合併症がセルフケア能力低下に最も強く関連

 COVID-19生存例の26.6%では、COVID-19発症・入院前と比べてセルフケア能力の低下(機能的転帰不良)が認められた。高齢、男性、集中治療室(ICU)入室の患者でセルフケア能力の低下度が大きかった。

 年齢、性、剥奪指標、登録施設を調整後の解析で、合併症の発症は機能的転帰不良のリスク上昇と独立した関連があった(調整後オッズ比2.42、95%CI 2.31~2.54、P<0.0001)。機能的転帰不良と最も強い関連が示されたのは神経学的合併症だった(同4.39、3.95~4.63、P<0.0001)。

 以上を踏まえ、Drake氏らは「COVID-19入院患者における合併症の発症率は高く、COVID-19発症前は健康であった者や若年者も例外ではなかった。COVID-19および合併症は今後数年間にわたり医療と福祉に大きな負担となる可能性がある」と結論。「COVID-19サバイバーの多くを占めるのは経済活動人口であるため、COVID-19がもたらす長期的な健康障害に関するデータは極めて重要である」と付言している。

(太田敦子)