23日の東京五輪開会式に合わせて来日する各国の首脳級は15人程度にとどまる見通しだ。世界的な新型コロナウイルス感染拡大はいまだ収束しておらず、来日を見送る国が相次いだためだ。菅義偉首相としては目算が狂った形だが、「五輪外交」の機会を生かし、コロナ克服へ協力を呼び掛ける方針だ。
 加藤勝信官房長官は21日の記者会見で、首脳級の来日が15カ国・機関程度になるとの見通しを示した。その上で「対面外交が制限されているコロナ禍にあって、個人的な信頼関係を築く上でも大変貴重な機会だ」と意義を強調した。
 政府関係者によると、当初は80カ国以上の首脳級が来ることを想定していたという。2016年のブラジル・リオデジャネイロ五輪はジカ熱の流行や政情不安も重なり、40人前後の参加にとどまったものの、政府は、約80人の首脳級が出席した12年のロンドン五輪と同程度の要人が訪れるとみて、検討を進めていた。
 ところが、東京五輪の開幕が迫ってもコロナ感染の勢いは止まらず、政府は来日する海外要人に対し、自国選手との接触を控えるなど行動制限を求めた。コロナ対策に振り回されているのは各国も同様で、指導者が国を離れることへの抵抗からか「直前になって辞退が相次いでいる」(外務省関係者)という。
 先進7カ国(G7)の中で来日を公表した首脳はフランスのマクロン大統領のみで、パリ五輪を24年に控えた「引き継ぎ」の意味合いが強い。バイデン米大統領のジル夫人が来日するものの、英国のアン王女や台湾の唐鳳(オードリー・タン)政務委員らは出席を見送った。焦点だった韓国の文在寅大統領は首脳会談の成果が見込めないことを理由に来日を見合わせた。
 首脳級の来日は少人数となる見通しだが、外務省関係者は「コロナ禍での貴重な来客だ。懸案を話し合ったり、友好を深めたりする機会にしたい」と話している。 (C)時事通信社