五輪開幕を翌日に控えた東京都内では、競技場前や公式グッズ店に多くの人が訪れ、「スポーツの祭典」に向けた盛り上がりも一部で感じられた。ただ、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下での開催とあって、祝祭感はいまひとつ。スポーツバーを訪れる人も少なく、客のいない店内にバットの快音がむなしく響いた。
 祝日移動のため4連休の初日となったこの日、開会式に向けて準備が進む国立競技場(新宿区)周辺は交通規制が敷かれ、首からパスを提げた関係者だけが忙しく出入りしていた。一方で、競技場近くの五輪をかたどったモニュメント前では、記念撮影する人たちが長蛇の列をつくった。
 7歳の息子を連れて文京区から訪れた主婦(43)は「観戦チケットを持っていたが、無観客開催になってしまって。せめて大会が開かれる場所を子供に見せられて良かった」と笑顔を浮かべた。JR有楽町駅近くにある大会グッズの公式ショップも混雑し、エンブレム入りのTシャツやタオルを購入した男性会社員(26)は「大会が盛り上がっている感じはあまりしないが、記念になるものが欲しくなった」と話した。
 ただ、競技自体への関心はさほど高まっていないようだ。ソフトボール日本戦の中継を流していた渋谷区のスポーツバー「Fields」の店内は、昼食時も閑散としていた。五輪の公式グッズに身を包んだ店主の田中守さん(66)は「開幕に備えて店内のテレビを増やしたが、お酒が出せず午後8時までの時短営業ではどうしようもない」と肩を落とす。
 テレビの中では日本選手がホームランを放ったが、店内で歓声を上げる客はいない。田中さんは1964年の前回大会当時、テレビの前でマラソンの円谷幸吉選手を応援した興奮を今でも覚えていると振り返り、「スポーツは筋書きがないからこそ楽しい。開幕後は盛り上がってくれたら」と期待を込めた。 (C)時事通信社