東京五輪開会式出席に向けて各国要人の来日が続く一方、派遣を中止した国や地域も多い。新型コロナウイルスの感染拡大が依然として収まらない中、行動制限などのコロナ対策への協力のほか、日本国内の「空気」に配慮したとみられるケースなど、「訪日断念」の理由はさまざまだ。
 ◇決め手は「指針」
 「防疫対策に協力するため、キャンセルすることにしました」。台湾の唐鳳(オードリー・タン)政務委員(閣僚)は18日、自身のツイッターで訪問見合わせを発表した。コロナ対策で開会式出席を国家元首や政府トップなどに限るとする国際オリンピック委員会(IOC)の通知を受け、行政院(内閣)と唐氏が協議し判断したという。
 6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で「世界の団結の象徴」として五輪開催支持を表明したカナダは、トルドー首相の五輪欠席を決定。多くの会場で無観客開催となったことが決め手となった。
 組織的ドーピング問題への処分を受け、国家の代表団を送り出せないロシアは、アンバサダーとしてフィギュアスケートのエフゲニア・メドベージェワ選手の訪日を予定していたが、これも断念。きっかけは日本での緊急事態宣言の発令だ。
 メドベージェワ氏はインスタグラムで「選手と他者の接触を最小限に抑えるには、最大限の責任が必要だ」と理由を説明。感染への不安や懸念が募る中、それぞれが頼りにしたのはIOCや日本政府などが示した行動を制限するコロナ対策の「指針」。訪日断念は対策に協力する姿勢の表れと捉えることができそうだ。
 ◇日本の国民感情考慮?
 「(五輪への)熱気は不満、無関心、ついには敵意に変わった」(米紙ワシントン・ポスト)。「緊急事態宣言が出された後、外国人の選手、要人、メディアの参加に対する怒りがある」(英紙タイムズ)。欧米メディアは五輪開幕を控えた日本の「国民感情」をこう伝えた。
 「現場にいられないのは悲しいが、私と全国民はあなた方を応援している」。東京五輪への出席が見込まれていた英オリンピック委員会の総裁を務めるアン王女は選手団にこう語り、欠席を決めた。欧米メディアが伝えたような日本国内に漂う「空気」を考慮した結果とみられている。
 「重大な風評被害を招く」として酒類を提供する飲食店などに行かないよう英選手団に指示があったとも報じられ、日本国内からの視線に神経をとがらせている英国の様子がうかがえる。 (C)時事通信社