新型コロナウイルスの感染拡大は首都圏を中心に「第5波」の様相を呈する。感染症の専門家は東京五輪が開催される時機を「最悪のタイミングだ」と指摘し、「観戦は自宅で静かに楽しみ、他国の模範になる行動を」と呼び掛ける。
 東京五輪をめぐり、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら有志は6月中旬、感染拡大リスクの低さを理由に「無観客開催が望ましい」との提言を公表。提言に名を連ねた国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「難しい判断だったと思うが、無観客としたことは現在の感染状況を考えると妥当だ」と話す一方、「無観客に変更した意味を踏まえ、今の感染急拡大のカーブを下げにかからなければ意味がない」と強調する。
 観戦や応援について和田氏は、「飲食店ではなく自宅で楽しみ、家族などいつも会っている4、5人程度で過ごしてほしい。ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)でつながる応援もいい」と指摘。「感染対策の主役は市民一人一人だ。可能な限り飲食を控えた静かな応援を通じ、他国の模範になって」と話す。
 けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師(感染症)は「拡大が続くインド由来のデルタ変異株は感染力が強く、非常に危険なウイルス。過去の対策が通用しない恐れがある大流行が起きつつある」と分析。「東京五輪は変異株流行と重なり、最悪のタイミングだ。ワクチンを打ってない人は、少なくとも8月末までは外出を控え、感染防止に努めてほしい」と訴えている。 (C)時事通信社