公衆衛生の専門家で英キングス・カレッジ・ロンドン元教授の渋谷健司氏が23日までに時事通信の取材に応じ、東京五輪開幕に至るまでの新型コロナウイルス感染予防策について、「リスクを最小化するために何をするかが見えない。結果的にファンタジー(幻想)だったと言うしかない」と批判的な見方を示した。
 本格的な競技開始前から、選手を含めた関係者の陽性が連日のように判明。外部との接触を遮断する「バブル方式」の欠陥も指摘されている。渋谷氏は「実質的にバブルは崩壊している。米大リーグや全豪オープンテニスなどは厳格にバブルをつくっており、全くレベルが違う。(東京五輪は入国者の)行動もアプリで監視しているというが、機能しているとは思えない」と語った。
 国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会は「安心、安全な大会を開く」と繰り返しながら、中止を判断する明確な基準を示してこなかった。これについて渋谷氏は「一番良くないところ。世界保健機関(WHO)を含めて専門家がオープンな議論をせず、聞こえてくるのはお粗末な話が多い」と断じた。
 開幕直前まで、開催に反対する世論は消えなかった。IOCの計らいで、日本国内と比べて五輪関係者の検査やワクチン接種が充実している点にも、批判の声が上がっている。渋谷氏は「(コロナ禍の自粛を)1年半も我慢して、限界が来ているのだと思う。五輪があることで、さらに不公平感が強まっている」と分析した。 (C)時事通信社