新型コロナウイルス禍で販路を失った地方の特産物を、全国の信用金庫が仲介役となって大手百貨店などに紹介するリモート方式の商談会が盛況だ。地域と密着した信金ならではの取引先は、「地方の隠れた逸品」を探し求める百貨店のバイヤーにとっても魅力的。コロナ禍で対面営業活動が制限される中、新しい商材探しの手段として注目を集めている。
 「今まで取り扱っていない商品に出会える機会だ」。羽田空港にほど近い羽田イノベーションシティ(東京)で7月中旬に行われた商談会。参加した大手百貨店のバイヤーは、大手銀行などとの取引とは異なる商品に満足げだった。
 リモート商談会は、城南信用金庫(同)が全国249の信金などでつくる「よい仕事おこしネットワーク」に呼び掛け、昨年7月から定期的に開催。19回目となる今回は、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋、通販サイトを手掛けるテルウェル東日本(同)の3社がバイヤーとして参加した。
 商談は、信金の取引先である全国333社から寄せられた711件の申し込みのうち、書類選考を通過した84件で行われた。バイヤーは事前に送られてきた商品の現物を確認しながら、大画面のモニター越しに生産者らとやりとり。どら焼きや贈答用の豚肉など68件の成約につながった。
 三越伊勢丹の担当者は「大企業はすでに付き合いがある。メガバンクや地方銀行ではなく、信金と組むことで新たな事業者と知り合える」と、参加した狙いを語る。群馬県で煎餅などを製造・販売する田村製菓(安中市)の田村光三社長は「商品を磨き上げる貴重な機会。1日に数社から話を聞ける」と笑みを見せた。
 生産者、バイヤーとも参加費無料という点も特長。城南信金の川本恭治理事長は「地域に支持されなければ地域金融機関は生き残れない。われわれの仕事はつなぐことであり、地域の事業者の役に立ちたい」と強調した。 (C)時事通信社