【シドニー時事】オーストラリア最大都市シドニーで新型コロナウイルス感染防止のためにロックダウン(都市封鎖)が導入されてから26日で1カ月となる。感染力が強いインド由来のデルタ株が猛威を振るい、封鎖は計3州に拡大。豪国民の約半数が外出規制を強いられる。批判の矛先は政権に向かい、大規模デモが発生。最近までコロナ抑制に成功していたモリソン政権への評価は一変し、支持率は急落した。
 「今年初めに期待していた目標を達成できず申し訳ない」。モリソン首相は22日の記者会見で、ワクチン接種の遅れを謝罪した。政府は当初、10月までに希望者全員に接種を終える計画を立てた。しかし、当初主力としていた英アストラゼネカ製ワクチンは、血栓症のリスクを踏まえ原則60歳以上の利用に制限したことなどでワクチンが不足し、計画が狂った。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によれば、豪州で接種を終えた人は12%と、英国(55%)や米国(49%)、日本(23%)などを下回っている。
 感染力が従来の2倍とされるデルタ株の出現も誤算となった。感染経路を追跡する仕組みは当初は十分に機能したが、デルタ株には当局の対応能力が追いつかない。豪国立大のガエタン・バージオ博士は「追跡する接触者の数が劇的に増えた」と語った。
 自由な生活を奪われた市民のいら立ちも募る。24日にはシドニー中心部で封鎖に反対する数千人規模のデモが発生。警官隊ともみ合いとなり57人が逮捕された。地元紙の世論調査によると、政権のワクチン接種対応に不満の声は57%と初めて満足を上回った。与党勢力の保守連合の調整後支持率は約2年前の前回総選挙以降で最低となった。
 豪政府は3州の封鎖で1日当たり3億豪ドル(約240億円)の経済的打撃を受けると試算。シドニーの封鎖は期限の30日から延長される見通しで、モリソン政権は試練に立たされている。 (C)時事通信社