新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するファイザー製およびモデルナ製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種後に報告されている心筋炎・心膜炎について、日本循環器学会は7月21日に声明文を発表。ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の発症率は、SARS-CoV-2感染例の発症率に比べて極めて低く、ワクチン接種によるベネフィットはリスクを大幅に上回るとの見解を示した。

ワクチン接種後発症例の大半は軽症

 同日に厚生労働省が発表した「副反応疑い報告の状況について」によると、米国では両ワクチン100万回接種当たり4.1件の心筋炎・心膜炎、英国ではファイザー製ワクチン100万回接種当たり2.6件の心筋炎および2.0件の心膜炎、モデルナ製ワクチン100万回接種当たり8.2件の心筋炎・心膜炎、欧州ではファイザー製ワクチン100万回接種当たり0.8件の心筋炎・心膜炎およびモデルナ製ワクチン100万回接種当たり1.0件の心筋炎・心膜炎の発症が報告されている。

 わが国においては、ファイザー製ワクチン100万人接種当たり0.9件の心筋炎・心膜炎および100万回接種当たり0.5件の心筋炎・心膜炎、モデルナ製ワクチン100万人接種当たり0.7件の心筋炎・心膜炎および100万回接種当たり0.6件の心筋炎・心膜炎の発症が報告されている。

 現時点でmRNAワクチン接種と心筋炎・心膜炎発症との因果関係は不明であるが、厚労省は7月7日に両ワクチンの添付文書改訂を指示。「重要な基本的注意」を新設するなどし、ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎に関する報告について記載するとともに、心筋炎・心膜炎が疑われる症状が認められた場合は速やかに医師の診察を受けるよう接種前に伝えることとしている。

 日本循環器学会ではこうした状況を踏まえ、『新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎に関する日本循環器学会の声明』として、以下の文章を発表した。

  • 新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率に比較して極めて低い。
  • 新型コロナウイルスワクチン接種後に発症する急性心筋炎と急性心膜炎の大半は軽症である。
  • 新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る。
  • 新型コロナワクチン接種後に、動悸・息切れ・胸痛等の症状が出現した場合は、速やかに医療機関を受診することを勧める。
  • 日本循環器学会は新型コロナウイルスワクチン接種を推奨するとともに、今後の動向を注視し、迅速な情報収集と提供に努める。

(渕本 稔)