海外渡航の際に新型コロナウイルスワクチンの接種歴を証明する「ワクチンパスポート」の申請受け付けが始まったことを受け、民間企業からは「安心安全な旅行の実現につながる」(日本航空)と期待する声が聞かれた。ただ、現状で利用可能国は7カ国にとどまり、「影響は限定的」(東芝)といった冷静な声も目立つ。
 コロナの感染拡大以降、国際便の減便で苦境に立たされる航空業界。ワクチンパスポートの具体的な手続きが始まったことにANAホールディングスは「大歓迎」と喜ぶ。ある空港関係者は「ずっと『鎖国』しているわけにもいかない。安全な往来のきっかけになる」と、海外旅行の正常化に期待を寄せる。
 一方、テレワークの浸透もあり、海外出張を原則禁止している企業は多い。このため、大半の企業は「パスポートによってその原則が緩められることはない」(大手自動車)と現状維持を続ける構え。NECも原則禁止だが、「どうしても必要な場合も出てくる」として、海外赴任や出張が今後必要になりそうな社員らにワクチン接種とパスポート取得を促している。
 もっとも、パスポートの利用が可能な国はイタリアやトルコなど7カ国のみで、当面は大きな効果は期待できそうにない。別の大手自動車から「企業にとって重要な国が(対象国として)増えれば経済活動の点でプラス」との指摘があったほか、「日本入国時の緩和の実施も希望する」(精密機器)など、今後の運用拡大を求める声も多かった。 (C)時事通信社