免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による肺がん治療では、免疫関連副作用(irAE)が起こりうる。慶應義塾大学薬学部の江上彩映香氏らおよび同大学病院、国立がん研究センター中央病院を中心とする研究グループは「irAE発現と末梢血球数が相関する」との仮説を検証。「末梢血リンパ球数820以上がirAE発現と相関することが分かった。irAE早期発症の高リスク患者特定に役立つ可能性がある」とFront Oncol(2021; 11: 618570)に発表した。

42.7%が治療開始後6週間以内に発症

 現在、わが国では国民の約半数はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡する時代となった。中でも肺がんは死因の1位で、年間7.5万人が死亡している。ICIニボルマブは、進行・再発非小細胞肺がんにおける標準治療であるが、irAEとして皮膚障害、下痢、間質性肺炎などがしばしば発現する。それらは誰にでも起こりうるが、発現のタイミングは明らかでないため、高リスク患者の発見とその管理が非常に重要となる。

 江上氏らは「ニボルマブによるirAE発現と末梢血球数は相関する」との仮説を立て、研究を実施。2015年12月〜18年11月に、同大学病院とがん研中央病院で進行・再発の非小細胞肺がんの二次治療以降として、ニボルマブ療法を6週間以上行った患者171例を対象に診療録を後ろ向きに調査した。対象のうち73例(42.7%)で治療開始後6週間以内にいずれか1つ以上のirAEが発現した(表1)。

表1. 免疫関連副作用の発現率

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ICIによるirAEを事前に予測できる可能性

 さらに江上氏らは、irAEと末梢血球数の相関性について検証した。ニボルマブ療法開始前(図-上)と開始2週間後(図-下)で受信者動作特性(ROC)曲線下面積を比べた結果、開始2週間後の方がやや大きい面積となった。ROC曲線により、ニボルマブ療法開始2週間後のリンパ球数、好中球数/リンパ球数比、リンパ球数/単球数比のカットオフ値はそれぞれ820、4.3、2.2であった。

図. 治療開始前後のROC曲線下面積

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 ロジスティック回帰分析を行った結果、リンパ球数820以上はirAE発現と有意に相関していた(表2-上)。一方、好中球数/リンパ球数比とリンパ球数/単球数比については、有意な相関は見られなかった(表2-中、下)。

表2. ロジスティック回帰分析によるオッズ比

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(表1、2、図とも慶應義塾大学薬学部リリースより)

 今回の研究で、ニボルマブ療法開始2週間後の末梢血リンパ球数がirAE発現と相関することが分かった。同氏らは「われわれが立てた仮説が支持された。この結果は、ICIによるirAEを事前に予測できる可能性を示唆するもので、高リスク患者の早期発見とその管理につながるものと考えている」と述べている。

(慶野 永)