東京五輪の競技場周辺で、観客や観光客の案内を担うはずだった自治体の「都市ボランティア」。新型コロナウイルス感染拡大で大半の競技が無観客となり、開幕直前に活動機会を失った。活動中止を決めた自治体がある一方、大会に関わる名所案内やオンラインでの応援など、わずかでも携わってもらおうと新たな役割を見いだす動きが出ている。
 「少しでも大会に携わることができた。それがとてもうれしくて」。東京都江東区の臨海部に設けられた「第2の聖火台」でガイドをしていた都のボランティア、沼上まりなさん(55)は感慨深げに語った。26日に2時間程度、来場者にうちわなどの暑さ対策グッズを配り、熱中症への注意を呼び掛けた。
 沼上さんは「無観客が決まって活動がなくなりがっかりした」。だが都から新たな役割を示され、「どうしても(ボランティアの)制服に袖を通したかった」と応募を決意。同じ場所で活動していた下田治さん(59)も「東京大会は一生に一度の経験かもしれない。ボランティア同士、見知らぬ人とも現場で交流することができた」と喜んだ。
 無観客開催の決定後、都は約2万5000人が登録するボランティアについて、新たな役割を模索。聖火台を見に来る人への感染防止対策の声掛けのほか、情報発信拠点の東京スポーツスクエア(千代田区)を訪れる人の案内を担ってもらったり、オンラインで応援メッセージを発信したりする代替活動を展開することにした。
 埼玉県でも、県の呼び掛けで集まったボランティアが25日、バスケットボール会場の「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市)で、会場入りする選手のバスに旗を振って歓迎を示し、近くに落ちている空き缶を拾った。
 一方、自転車競技の会場がある山梨県は、国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会が沿道の観戦自粛を要請したため、ボランティア事業自体を中止。担当者は「現地で活動してほしかったが、県としても沿道での観戦自粛を求めていることから矛盾が生じる。中止はやむを得なかった」と話した。 (C)時事通信社