藤田医科大学大学院保健学研究科教授の齋藤邦明氏らの研究グループは、国立感染症研究所などとの共同研究で、ファイザー製の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン・トジナメランの2回接種により大幅に抗体量が増加することを日本人で確認した、と査読前論文公開サイトmedRxiv(2021年7月19日オンライン版)に発表した。抗体量は男性より女性で多く、男性では年齢が高いほど少ないなど性差や年齢差があることも判明。「抗体量を測定することで個人に合ったワクチンの接種間隔や用量、回数などを決定できる可能性がある」としている。

日本人を対象にワクチン接種後の抗体量や中和活性について調査

 SARS-CoV-2ワクチン接種による感染防御効果は証明されているが、日本人での接種後における抗体量増加の程度や個人差などについての調査は進んでいない。また、測定する抗体にはIgG、IgM、IgAなど複数あり、いずれの抗体を用いるべきか最適な方法についても不明である。

 齋藤氏らは、以前行ったSARS-CoV-2感染者の血液を用いた研究で、ウイルスの受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体の測定がウイルス中和活性を最も良く表すことを明らかにしている。今回、この研究成果を基に、同大学教職員219例(男性69例、女性150例)を対象にワクチン接種前後の血液中のRBDに結合するIgG抗体を測定し、抗体の上昇程度の違いやワクチン接種による中和抗体の産生について調査した。

 まず対象に対し、ワクチン接種前、1回目接種後平均14.6日、2回目接種後平均14.3日に採血を実施。次に、血液中のRBDに結合するIgG、IgM、IgA抗体の量を測定したところ、全ての抗体が接種後に増加し、中でもIgG抗体は2回目の接種後に大幅に増加したことが確認された。

 全被験者の血清中IgG抗体価を見ると、ワクチン接種前は平均0.1±0.2U/mL(0~1.8U/mL)だったが、1回目のワクチン接種後に平均11.8±12.8U/mL(0~100.9U/mL)、2回目接種後には平均246.6±153.6U/mL(17.2~762.4U/mL)に上昇。2回目接種後の抗体価は1回目接種後の20倍以上だった。

抗体量の測定で、接種間隔、量、回数の決定に応用も

 さらに、男女および年齢別に2回目接種後のIgG抗体量の違いについて検討した。その結果、抗体量の平均値は男性(209.9±137.6U/mL)より女性(263.6±158.0U/mL)で多かった。男性では年齢が高いほど抗体量が少なかった。

 また、ワクチン2回目接種後に中和活性を測定したところ、RBDに結合するIgG抗体量が多ければ多いほど中和活性が高いことも判明した。

 今回の結果について、齋藤氏らは「日本人でもワクチン接種によりSARS-CoV-2に対する抗体が産生され、その産生量には個人差があることが確認された。抗体量は1回目接種後にわずかに増加し、2回接種することで大幅に増加し、抗体量が多いほどウイルス中和活性が高かった」と結論。「男性は女性より産生される抗体量が少なく、年齢が高いほど少ないなど個人差が見られた」とし、「抗体量を測定することで個人に適したワクチンの接種間隔や接種量 、接種回数などが決定できる可能性があり、今後も研究を続けていく」と付言している。

(小沼紀子)

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