東京五輪で日本人選手の金メダル獲得が相次ぎ、菅義偉首相がその都度ツイッターで祝意を投稿している。報道各社の世論調査で内閣支持率が過去最低水準に沈み込む中、日本勢の活躍を政権の追い風につなげたいとの思惑がにじむ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大は止まらず、27日は東京都の新規感染者が過去最多の2848人に上った。五輪が政権運営にどういう影響を与えるかは予断を許さない。
 首相は、日本勢初の金メダルを獲得した柔道男子60キロ級の高藤直寿選手に25日に電話で祝意を直接伝え、その様子をツイッターを通じて公開した。その後も日本人が金メダルを獲得するたびにツイッターを更新。27日は柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手に「けがを乗り越えて、見事な金メダル獲得、おめでとうございます」と書き込んだ。
 コロナ禍での五輪開催には批判的な世論が多かったが、政権はメダルラッシュで国民の五輪祝福ムードが高まることを期待。「雰囲気がいい」(自民党幹部)、「政権に追い風になればいい」(官邸幹部)など歓迎する声が広がる。
 自民党の閣僚経験者からも「内閣支持率が好転すれば衆院選も早くやってほしい。(首相には)パラリンピック(8月24日~9月5日)の最中に『終わったら衆院を解散する』と言ってほしいくらいだ」との声も上がる。
 一方、別の自民党幹部は「大会は盛り上がるが政権には何も影響しない」と冷静だ。「五輪を政治利用している」との批判を受けかねないことや、コロナ感染が深刻化していることがある。政府関係者は「五輪開催で感染が広がったということは今の時点ではない」と強調するが、感染拡大が医療逼迫(ひっぱく)を招けば、政権への打撃は避けられない。
 このため、首相は五輪応援とともにコロナ対策にも引き続き全力を挙げる。首相は27日、記者団に「強い警戒感を持って感染防止に当たっていく」と表明。国民に対し「不要不急の外出は避け、五輪はテレビなどで観戦してほしい」と呼び掛けた。 (C)時事通信社