日本耳鼻咽喉科学会と金沢医科大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染による嗅覚および味覚障害に関する調査を実施し、結果の概要をこのほど公開した。それによると、アンケート回答者(251例)中57%に嗅覚障害を、41%に味覚障害を認めたものの、大半が調査後1カ月で改善。さらに味覚障害を訴える患者の多くは風味障害である可能性が高いことも示唆されたという。

国内の入院・療養患者251例が対象  

 COVID-19に感染すると、発症早期に嗅覚、味覚障害が認められることが知られているが、わが国における発生頻度と予後の検討は十分に行われていない。

 そこで今回、わが国におけるCOVID-19による嗅覚障害、味覚障害の発生頻度や特徴を把握するとともに、症状の持続期間、さらにその予後を把握することを目的として本研究が行われた。

 対象は、2021年2~5月に、病院およびホテル療養中の20~59歳のCOVID-19患者。対象には、入院または療養施設において症状に関するアンケートの回答と嗅覚、味覚検査(嗅覚:12満点中8点以上が正常、味覚:16満点中9点以上が正常)実施を依頼し、アンケート回答者に対し、発症1カ月後に電子メールで2回目のアンケート回答と嗅覚、味覚検査実施の依頼を送付した。

 アンケート回答者は251例で、そのうち検査実施者は119例であった。

嗅覚、味覚とも認めたのは37%

 回答者中57%に嗅覚障害を、41%に味覚障害を認めた。嗅覚、味覚とも障害を認めたのは全体の37%で、味覚障害のみを認めたものは4%と少なかった(図1)。

図1. 嗅覚・味覚の⾃覚症状についてのアンケート結果

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 嗅覚障害ありと回答した患者の多くが嗅覚検査でも低値だったのに対し、味覚障害ありと回答した患者の多くが味覚検査では正常を示した(図2)ことから、味覚障害を訴える患者の多くは風味障害である可能性が高いことが示唆された。

図2. ⾃覚症状に対するアンケート結果と嗅覚・味覚検査の点数分布(119名)

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(図1、2とも日本耳鼻咽喉科学会プレスリリース)

 男女別に見ると嗅覚障害、味覚障害ともに女性に頻度が高く、加齢とともに頻度は減少した。嗅覚障害、味覚障害の発生は、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、鼻の痛みと正の相関を示した。異嗅症は20%に、異味性は39%に認められた。障害によるQOLへの影響は、「飲食が楽しめなくなった」など食に関することで嗅覚障害、味覚障害と強い相関を示した。

 調査時に嗅覚障害、味覚障害ありと回答した患者のうち、それぞれ60%、84%が1か月後の調査で改善していた。この結果は海外の報告とほぼ一致し、嗅覚障害、味覚障害はCOVID-19の治癒に伴い、多くの患者で早急に消失するものと思われた。

 研究グループは、3および6カ月後の改善率を引き続き追跡するとともに、後遺障害に対する治療方法を検討し、報告する予定だという。

編集部